「エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする」(著・グレッグ マキューン)についての書評です。
エッセンシャル思考とは
よく優秀な人ほど仕事が集まると言います。
「すべき仕事」に追われ、「したい仕事」が疎かになったり仕事の質が下がり、結果的に「優秀だったけど最近はイマイチ」と 言われてしまう。
そういう経験をしたことがある方も、思い当たる方が社内にいるよなーと思った方もいるでしょう。
そういう状況から脱する考え方が「エッセンシャル思考」です。
エッセンシャル思考の根本となる考え方は、より少なくより良く。
人間のキャパシティは限られているから、本当に大事なことだけに取り組み、それ以外のことは断り、その代わりにより良い結果を出そうという考え方なんですね。
「そうは言っても、大事なことばかりなんだよ」
「周りの期待を裏切ることはできない」
そう思う方もいると思います。
でも、引き受け続ける限り、残念ながら評価は下がり、期待を裏切ってしまうことになります。
だって人間の体力と集中力には限界があるからです。
本書では、この「エッセンシャル思考」について、どう考えていけば良いのかという考え方に加えて、どう断ると波風が立ちにくいのかという具体例まで紹介し、エッセンシャル思考を仕組みにする方法も紹介されています。
自分で優先順位を決めなければ、他人の言いなりになってしまう。
(引用)本書p.27より
忙しいのに評価が上がらない方、充実感が足りないと困っている方にオススメの本です。
さて、具体的な中身は本書を読んでもらうとして、わたしが感じたことを書いていきたいと思います。
トレードオフという考え方
わたしはこのブログで度々、自分の中の優先順位が最も大事だと書いてきました。
性格的にもアッサリ優先順位を決めちゃうタイプなので、他人も"そういう発想さえあれば"同じように優先順位を決めることができると漠然と思っていました。
でも、よく周りを見回すと案外難しいと思っている人も多いようですし、決めきれなくて流れに身をゆだねるタイプもいるようです。
「優先順位を決めること」とは、言い換えれば「何かを選ぶ」ということです。
そして、何かを選ぶということは他の何かを選ばないということでもあります。
短い言葉で言えば、トレードオフということです。
昔のドラマなんかであった「仕事とわたし(家庭)、どちらが大事なの?」みたいな夫婦喧嘩の台詞なんて、まさにトレードオフの代表例です。
1日が24時間と決められている以上、仕事に時間を使うとその分家庭の時間は削られてしまいます。
優先順位を決めることが苦手な人って、この何かを選ばないという決断が苦手なんじゃないかと思うんですよね。
仕事が大事なら家庭の時間は減るし、家庭が大事なら仕事の時間は減ります。
仕事と家庭の両方の時間を減らさないようにするなら、趣味の時間や睡眠時間を減らす、お金で解決できるものは支払って済ますなど、他のものを減らすことになります。
結局、何かを選び、何かを選ばないという思考をしなければなりません。
そして、この選びづらい心理自体は人間であれば「普通」なことです。
この心理が普通だということを認識した上で、じゃあ、どうやって優先順位を決めていくのか。
90点ルールを活用しよう
本書では、優先順位を決めるシンプルな方法が書かれています。
簡単なので今日からすぐ取り入れることが出来ますよ。
その方法とは「90点ルール」というものです。(本書p.134より)
このルールでは、まず最重要基準をひとつ用意して、100点満点で評価します。
そして、90点未満のものはすべて0点に変換する、というものです。
「悪くない程度の選択肢は、すべて拒否した方が良い」(本書p.134)という考えに基づいて決断する方法なんです。
例えば、本棚のスペースがなくなってきたので、本・マンガ・雑誌を整理する場合で考えてみましょう。
1年に一回は読み返すマンガは90点、世間で人気があるから買ったけど一度も読み返さないマンガは70点、一度も読み返していないけど感動した小説は95点。
こんな感じで100点満点で点数をつけて、89点以下の本・マンガ・雑誌を処分したり、メルカリで売ってしまうというわけです。
この90点ルールの良いところは、89点以下を完全に切り捨てることです。
ちょっと勿体無く感じるかもしれません。
しかし、優先順位をつけて決断するためには、このくらい思い切りがないと選びきれません。
もちろん全ての物事をこの90点ルールで判断しなければならないわけではありません。
ただこの90点ルールで考えることで、トレードオフを自然と意識しやすくなります。
あれもこれも大事で八方塞がり、そんな風に悩んでいる人は一度取り入れてみてはいかがでしょうか。
意外とどうでも良いことに振り回されている自分に気付くかもしれませんよ。
それでは、また。
読みやすいマンガ版もありますよ。