りょうさかさんと

教育業界にいる陵坂さんが教育・子育て・DWEなどについて書くブログ

りょうさかさんと

Society5.0時代の「教育」とは


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「Society5.0」(ソサエティ5.0)ってご存知でしょうか。そして、教育業界がどのように変わる可能性があるのか。今回はこのことについて解説しましょう。

先に結論から書くとこんな可能性があります。

  • IOT、AIを駆使した社会になる。
  • それによって児童・生徒の個別にあった学習を先生がサポートするようになる。

Society5.0(ソサエティ5.0)とは

「Society5.0」(ソサエティ5.0)の説明は、内閣府のものがとてもわかりやすいので下記に引用させていただきます。

サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)

狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く、新たな社会を指すもので、第5期科学技術基本計画において我が国が目指すべき未来社会の姿として初めて提唱されました。

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(文章・図ともに引用)Society 5.0 - 科学技術政策 - 内閣府

社会の変化は狩猟社会(Society 1.0)から始まり、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)と進んできました。

情報社会から続くSociety 5.0とは、IoT(Internet of Things)AI(人工知能)の2つが活用される社会のことです。

農業機械の自動化なんかが「Society 5.0」の代表的な例かもしれません。トラクターやコンバインの自動制御、それに伴う収穫物の出荷におけるAIを駆使した最適化。

「下町ロケット ヤタガラス」でも描かれたアレ、だと思うとイメージしやすいと思います。

教育にはどのような変化があるのか

では、教育についてどのような変化が起こり得るのか、首相官邸WEBページから見てみましょう。 例えば小・中学校だと…

ⅱ)初等中等教育段階における AI 教育の強化
・平成 32 年度から全ての小学校でプログラミング教育を効果的に実施するために、来年度から教員が教材や指導方法等に習熟できるよう、未来の学びコンソーシアムの活動等により、全国の教育委員会や学校、企業等と協働して、ポータルサイト等を活用しながら教材開発や教員研修の質の向上を実現する。
・教科等や児童生徒の習熟度等に応じた指導、学校経営等の抜本的な改善には、AI やビッグデータ等を学校現場等で活用(EdTech)することが有効であり、EdTech の具体的な方法等について事例創出や実証研究を行うとともに、EdTech の効果的な活用及び学校現場等のニーズを踏まえた技術・教材開発・普及のためのガイドラインを策定する。
・無線 LAN や学習者用コンピュータ等の必要な ICT 環境を平成 32 年度までに整備するため、昨年末に示したICT機器の整備方針に基づくICT機器の機能等や効率的な調達方法、わかりやすく「見える化」した各市町村等の整備状況等について教育委員会だけでなく首長等に対して周知するなどにより、地方自治体における整備を加速化させる。
・学校の ICT 環境のクラウド化を推進し、授業・学習系システムと校務系システムの安全な連携手法を来年度までに確立する。

(引用)未来投資戦略 2018―「Society 5.0」「データ駆動型社会」への変革― 具体的施策 平成 30 年6月 15 日(首相官邸)‐p.103より

この資料では、高等教育についても書いてあります。

が、長くなってしまいますので全て引用はしません。

気になる方は元の資料を見て下さいね。

この資料を見て、わたしが重要だと思うのが以下の2点です。

  1. 小学校でのプログラミング教育を実施し、高校の「情報Ⅰ」を平成36年度の大学入学共通テストの出題科目にすることを検討。
  2. 個別にあった指導の取り組みを行う。

1の「プログラミング教育」については以前も書きましたので、そちらをご覧ください。

「情報Ⅰ」についてもその地続きの発想ですね。

テストになるかは現在検討中。

2の「個別にあった指導の取り組み」とは、教員の関わり方が変わることを意味しています。

もっと簡単に言うと先生の立つ位置が、生徒の正面から生徒と同じ側に変わるかもしれないということです。

これまではレベルの違う児童・生徒が、一斉に先生の話を聞くという授業が主流でした。

これって出来る児童生徒は退屈になったり、逆に苦手な生徒はついて行けずに脱落したり、弊害もあったわけです。

そこにIOT、AIの登場のチャンスがあるということです。

例えば「スタディサプリ」のような児童・生徒の個別にあった授業をそれぞれのタブレットやPCで受ける。

テストの正解・不正解をAIが分析して、その子にあった復習テストや学習プランを提示してくれる。

スタディサプリはテレビCMもしているのでご存知の方も多いでしょう。

復習の提案だと例えば2017年からDNPが取り組んでいます。

月1~2回のテスト実施後に、クラウド上のシステムでテストの回答内容を自動的に分析し、個々の児童・生徒の能力特性に合った個別教材を短期間(3日程度)で提供するサービスを開始します。

(引用)学校の日常テストをクラウド上で自動分析し、児童・生徒の能力特性に合った個別教材を提供する学習モデルの運用を開始 | ニュース | DNP 大日本印刷

もちろん他の企業も同様の取り組みをしています。

このように授業は動画、学習プランや復習はAIが提案してくれるように変化していくかもしれません。

とはいえ、動画授業を見ても、復習をしても理解できない児童・生徒はいるはず。

Society5.0時代の先生は、児童生徒のつまづきをサポートする存在になるのかもしれません。指導者という立場からコーチに変わる、そんなイメージでしょうか。

これが「先生の立ち位置が正面から生徒と同じ側に変わる」という言葉の意味するところです。

もちろん全ての授業がこのような形になるのは現実的ではないと思います。一斉指導の授業、話し合いの授業に加えて、個別学習を中心とした授業という3つのオプションの中から授業を編成していくのが自然でしょうね。

まとめ

  • 「Society5.0」とは、IOT、AIを駆使した社会のこと。
  • 「教育」は児童・生徒の個別にあった学習を先生がサポートするようになる。

時代の変化と共になくなる職業があります。

また残ったとしても業務内容が変わってしまうこともあります。

自動改札機の登場によって電車の切符をもぎる姿を見ることはなくなりました。

教育の現場だって同じような変化が起きます。

それがどんなものであれ、子どもにとってベターなものになって欲しいですね。

それでは、また。

下町ロケットゴースト・ヤタガラスのDVDが発売されますね。

まだの方はGW10連休にどうぞ。