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【書評】自分の中の「天才を殺す凡人」とは?


今回の書評は「天才を殺す凡人」(著・北野唯我)です。

たまたま書店さんで冒頭部分を立ち読みして面白かったので即購入した本書。こういう出会いがあるからリアル書店さんも大事にしたいですね。

この記事では、

・本書のざっくりとした内容

・感想

・抽象化

という流れになります。それでは、どーぞ。

本書の内容

本書では、人を大雑把に3つの特性に分けています。

天才…創造性

秀才…再現性

凡人…共感性

この特性を「軸」(価値判断の前提)として、コミュニケーションの断絶が生じることがあることが述べられています。そして、「軸」が違うと、根本的に話がかみ合わないんです。

ちょっとわかりにくいですよね? 本書の一部を引用してみましょう。

天才は『世界をよくするという意味で、創造的か』で評価をとる。一方で、凡人は『その人や考えに、共感できるか』で評価をとる。

(引用)「天才を殺す凡人」(著・北野唯我)p.42 

例えば、「YOUTUBER(ユーチューバー)」というお仕事で考えてみましょう。2017年の小学生「なりたい職業」ランキングで男子6位に「ユーチューバー」が入っています。

(参考)小学生「なりたい職業」ランキング、2017年の1位は? | リセマム

この結果を見て、あなたはどう思いますか?

よく考えれば「YOUTUBER(ユーチューバー)になりたい!」って思う子どもの心理って「俳優、声優、芸能人、アイドルになりたい」って言っているのと同じだということがわかると思います。

たぶん子どもが「芸能人になりたい」って言っても特になんとも思わないと思うんです。そういう時期あるよなーくらいで。 

一方、ユーチューバーは大人にとって、子どもの時になかった、この何年間で生まれた職業です。そもそもどんな仕事内容かよくわからない方も多いので、反応はマチマチだと思います。 

ユーチューバーに対して「今までになかった職業だ」「自分の動画メディアを持てるようになった」みたいな感覚(想像性)で評価するのが天才の評価基準

ユーチューバーを論理的に判断して「既に先駆者がノウハウを持っていて絵空事ではない」「今だと大人向けのビジネス解説が手薄」みたいな感覚(再現性)で評価するのが秀才の評価基準です。

ユーチューバーに対して「ヒカキンさん好き」「炎上してる人いるし変な世界なんでしょ」という感覚(共感性)で評価するのが凡人の評価基準です。

そして、このそれぞれの軸(評価規準)をすり合わせてもコミュニケーションが根本部分で成り立たないのもお分かりいただけると思います。

凡人が天才を殺す理由

では、次にどうして凡人は天才を殺すことになるのでしょうか。それには2つの要素があると本書では語られます。

・天才とアホの区別がつかない。

・天才と凡人の絶対数が違う。

天才とアホの区別がつかない。

天才とは、創造性だと書いてきました。では、創造性をどのように測ればいいのでしょうか? なにを持って創造性があると言えるのでしょうか。

これは非常に感覚的な部分です。時に前例がないほど革新的な創造性は、多くの人の理解を越えています。

例えば、ヒカキンさんがYoutubeに投稿しはじめたのは約10年前。この時点からヒカキンさんの創造性や行動力を理解できた人が何人いたでしょうか。

もちろんヒカキンさんの成功を現在、わたしたちは知っています。でも、わたしたちの知らない夢半ばで諦めたユーチューバー、現在も挑戦中の名もなきユーチューバーの方もいると思います。

この両者の区別をつけることは、とても難しいことですよね。

天才と凡人の絶対数が違う

前述のように天才の想像性は、凡人の評価軸(共感性)では評価しきれません。

そこで多数決を使えばどうでしょうか。

仮に10年前、ヒカキンさんが「ユーチューバーになるかどうか」の意見を多数決で取っていたら、どういう結果になっていたでしょうか?

おそらく反対意見の方が多数になっていたんではないでしょうか。

そう、天才と凡人では圧倒的に数が違うんです。

天才を理解できない凡人によって、天才のアイディアは闇に葬られてしまいます。想定以上に長くなってしまいましたが、これが本書のタイトルにある「天才を殺す凡人」という部分の大まかな内容です。

前半50ページほどの内容です。このあとは、天才、秀才、凡人のそれぞれの特徴。天才と秀才、秀才と凡人、天才と凡人の2つの才能をもつ人間。そういった人が入り乱れる組織の中でどのように立ち回るべきなのか。

そして、一人一人の頭の中にもこの天才、秀才、凡人がいることが語られます。

物語形式なのでとても分かりやすく読むことができますよ。

自分の中の天才を殺す凡人

あなたは、天才、秀才、凡人のどれでしたか? 

前半部分の天才・秀才・凡人の要素の理解。どうして話がかみ合わないのか。その上でどうすれば良いのかという指針はとても実用的な部分が大きいと思いました。

一方、後半の一人の人間の中にも天才、秀才、凡人がいるという話がとても印象に残っています。

特に本書でも紹介される「アイディアが浮かぶ」(創造性)⇒「良いか悪いか判断する」(客観性)⇒「周りからどう思われるか」(共感性)という判断の流れ自体が、天才、秀才、凡人が順番に頭を出しているという指摘の部分です。

「死ぬこと以外かすり傷」(著・箕輪厚介)やホリエモンの著作で「バカになれ」「とにかくやれ」と言う意味の言葉がよく出てきます。また一部のイノベーターは学校教育に否定的ですよね。

これらの言説が共通して言っているのは、共感性を大事にしすぎていないか? という部分です。

箕輪さん、ホリエモンは、自分の頭の中の「共感性」(凡人)を出さずに、「アイディア」(天才)を実行してみろよ、という意味で言っているんですよね。

また自分のアイディアのストッパー(共感性)をどこで身に着けてしまうのか。イノベーターは、その答えを学校教育にみつけたから「学校なんていかなくて良い」という主旨の発言をされるんだと思いました。

共感性は大事だけれど、それによって自分の中の天才を殺すんだよ、という内容。これを箕輪さんやホリエモンは体験を元にしており、本書では論理的展開を元にして述べられています。

このアプローチは違うけれど、似た内容に落ち着くところも不思議であり面白い部分だと思いました。

本書の構成の中の天才、秀才、凡人

「天才を殺す凡人」という書籍の中にも天才、秀才、凡人がいます。それは登場人物に限った話ではありません。構成そのものにそういう要素があると言えるでしょう。

秀才部分は、「天才を殺す凡人」という内容を論理的に解説している点です。

凡人部分は、ストーリー形式で語ることで読者が共感し、物語に入り込みながら理解できるようにしている部分です。「夢を叶える像」のガネーシャみたいな関西弁の犬が登場するので読みやすいですよ。

天才部分は、巻末のアイディアのところ。ここについては是非本書を手に取って確認してみてくださいw

最後に

では、いつものように「ファクト、抽象化、転用」をしていきたいと思います。

ファクト…人間の評価・軸を天才、秀才、凡人というわかりやすい言葉で置き換えている。

抽象化…難しい内容を伝える時は、共通イメージを持ちやすい代用可能なものを使うと良い。

転用…例えば、ドラえもんの「のび太」「スネ夫」「ジャイアン」のような置き換えを用いて伝える。

とってもオススメの本書「天才を殺す凡人」。だいたい2~3時間くらいで読むことができると思います。

中身をなんとなく確認してから買いたいという方は、著者の北野唯我さんのこちらの記事を読んでみてくださいな。

安心して購入できますぞ。 では、また。

「天才を殺す凡人」から考える 大企業でイノベーションが起きないメカニズム (1/3) - ITmedia エンタープライズ