今回は話題の書籍「メモの魔力」(著・前田裕二)についての書評です。
内容としては
- 「メモの魔力」の内容について
- わたしの好きな作家さんもメモをしているお話
- 「メモの魔力」の抽象化に挑戦
という流れです。
本書の内容
本書の内容を一言で言うと「前田裕二さんのメモ術」についてです。
メモ魔と言われるほど四六時中メモを取っている前田さん。
- どうしてそれほどメモを取るのか?
- メモを取るメリットはなんなのか?
ということが具体的に書かれています。
一口にメモと言っても会議などの発言のメモといった「備忘録」的なものから、疑問や思いついたことを書いておくメモなど色々な用途があります。
本書では後者を「知的生産のためのメモ」と位置付け、その力を最大限発揮させるためにメモを用いた思考の抽象化を提案しています。
「思考の抽象化」で述べられる内容は、
- 何かの出来事(ファクト)を書き出し
- それを抽象化し
- 最後に自分の目的に役立つように転用できないか
という3つの流れをセットで考える「思考のフレームワーク」です。
「抽象化」と言われても、ピンと来ない方もいると思います。
そこで本書で登場する具体例を見てもらいましょう。
以下で引用する文章は、前田さんが幼い時に駅前でギターの弾き語りをしていた時のことです。
◎ファクト
・カバー曲を歌うと、オリジナル曲のときよりも立ち止まってもらえる。
・立ち止まってもらった人のリクエストに応えると、ぐっと仲良くなる。(中略)
◉抽象化
・仲良くなるには、双方向性が大事。(中略)
★転用
双方向性があり、絆が生まれる仕組みをネット上に作る。(中略)
(引用)「メモの魔力」(著・前田裕二)p.55-56より
これなら、なるほどって感じですよね。
このようにある事実から、抽象化によって仮説を立て、別のことに活かせないかを考えていく。その為にメモを有効活用しようぜ、っていう内容なんです。
でも、なかなか難しそうに感じちゃう方もいると思います。
そこで本書では、この「ファクト⇒抽象化⇒転用」の思考フレームでいかに深堀をしていくか。
そして、取り組みやすいメモの書き方(紙面の使い方)を丁寧に解説してくれます。
また抽象化と転用がより大きな効果を生み出すのは、目的が明確な時です。
でも、「自分はこうなりたい」「これがしたい」と「目的」を即答できる人ばかりではないですよね。
「メモの魔力」では、「目的」を見つけるためにこの思考フレームを使って自己分析をしてみてはいかが? と提案してくれます。
しかも丁寧に1000問の自己分析用の質問まで用意してくれています。
なんて優しい…。
あとは実践するかしないか、ですね。
わたしはまずブログの書評記事を書くときに「ファクト⇒抽象化⇒転用」の思考フレームワークを使ってみようと思っています。
目的はブログにどう活かすか。(実際に読んでいる最中に書いた記事で挑戦してみました)
あと仕事の会議が終わった後の休憩時間に、個人的に気になったこと、印象に残ったことをメモに書き出して「抽象化⇒転用」の作業をするようになりました。
まずは取り組むハードルを下げて、一日に少しずつでも取り入れて継続していくことが大切だと考えています。
余談・作家さんのメモの話
前田裕二さんはSHOWROOM株式会社の社長ですが、作家さんもよくアイディアなどをメモしているイメージがあります。
わたしが大好きな村上龍さんも「半島を出よ」を執筆時には大量のメモを書いたそうです。
机にはもちろん、風呂やトイレにまで、家中にメモを置いておいて、休憩中に見た映画から得た情報や思いついたことなどを全部書き留めていました。こういうメモを書いたのは、『半島を出よ』からかもしれない。
(引用)「papyrus 2006.8 vol.7」(幻冬舎)p.46より
石原慎太郎さんは「小説を読んでいて好きな文章を見つけたら、ノートに書き留めていた」と息子の石原良純さんがテレビで仰っていました。
もしかするとその文のどこに琴線が触れたのか、どこを美しいと思ったのか分析されていたのかもしれません。
天才作家と評される方々もメモを取り、自分の頭からあふれ出るアイディアや感情の波を取りこぼさないように記録されていたんでしょうね
まとめ
ちょっと話が逸れてしまいましたが、興味を持たれた方は、一度、「ファクト⇒抽象化⇒転用」の思考フレームワークを使ってみてください。
詳しいやり方が知りたい方は、ぜひ本書をどうぞw
最後に「メモの魔力」を抽象化してみたいと思います。
ファクト:「メモ」という身近な行為・日常的な行為を「一般的なメモ」(備忘録)と「知的生産のためのメモ」の2種類に分ける。そして、後者に関して思考する為の具体的な手法を丁寧に説明している。
抽象化:元々ある行為や作業を再定義と分類をする。新たに定義した分類の価値(利便性)を説得力を持つ方法と具体例を出して共感を持ってもらう
転用:ブログの場合、書く際にテーマの要素を分解する。分解されたテーマの価値を具体例と共感の持てる書き方で表現する。
最後に
「メモの魔力」にこんな主旨の文章があります。
『感想は「すごい」で終わらさない』
仕事の営業でも、友人関係でも使える心構えだと思いました。
それでは、また。