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教育業界にいる陵坂さんが教育・子育て・DWEなどについて書くブログ

教科書採択と教科書会社の所在地の関係は?


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教科書採択と教科書会社の本社の所在地って関係あるんでしょうか?

今回は、それを調べてみたのでご紹介です。

(Photo by João Silas on Unsplash)

どうして気になったか?

教科書は、税金で賄われるものです。そして、教科書は各地方自治体の教育委員会の権限で採択されます。

ただ以前も調べたように教科書採択について教科によって分散している都道府県もあれば、県で一社しか使っていないような非常に偏りのある都道府県もあります。 

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ある一つの都道府県である一社になる。または、特定の教科毎に決まった一社になるのは不自然だからです。

もちろんメリットもあります。それは県内の引っ越しであれば、教科書が変わらないという部分です。これは教員にとっては勉強し直す必要がありません。また児童・生徒にとっても学習の漏れを防ぐというメリットがあります。

教科書は会社によって題材の登場順序などが違うケースがあるため、学年の途中で教科書が変わってしまうと学び漏れを起こす可能があるんです。

ただ、そういったメリットを考慮しても、恩恵をあずかれる人が少なすぎるんですよね。特定の1社になるというはやはり納得がいかない。

そこで、教科書会社の所在地の関係を考えてみました。所在地であれば法人税を納めているわけですから、地方自治体も地元の企業に仕事を優先するというのは一定納得ができますよね。

この推理が正しいのかどうか。検証していきましょう。

教科書会社の住所は、こちらの最終ページに全てまとめて掲載されています。⇒

小学校用教科書目録(平成31年度使用)-文部科学省

中学校用教科書目録(平成31年度使用)‐文部科学省

発刊教科書と会社の所在地

まずは教科書会社の発刊教科書と会社の所在地を列記していきます。ご存知の方はスルー推奨www

東京書籍 

いわずと知れた東京書籍。ほぼ全教科の教科書を発刊しています。

住所:東京都北区堀船2の17の1

大日本図書

小学校は理科、生活、算数、体育/保健。中学校は、理科、数学、保健体育の教科書を発刊しています。

住所:東京都文京区大塚3の11の6

開隆堂

小学校は、家庭、図画工作。中学校は、英語、美術、技術・家庭の教科書を発刊しています。

住所:東京都文京区向丘1の13の1 

学校図書

小学校は国語、書写、算数、理科、生活、道徳。中学校は国語、書写、数学、理科、英語、道徳の教科書を発刊しています。

住所:東京都北区東十条3の10の36

三省堂

小学校は国語、書写。中学校は、国語、書写、英語の教科書を発刊しています。

住所:東京都千代田区神田三崎町2の22の14

教育出版

小学校、中学校ともにほぼ全ての教科書(美術、技術家庭、保体を除く)を発刊しています。

住所:東京都千代田区神田神保町2の10

信濃教育図書

小学校の生活、理科の教科書を発刊しています。

住所:長野県長野市旭町1098

教育芸術社

小学校・中学校の音楽の教科書を発刊しています。

住所:東京都豊島区長崎1の12の15

清水書院

中学校の歴史、公民の教科書を発刊しています。

住所:東京都千代田区飯田橋3の11の6清水書院サービス第2ビル

光村図書

小学校の国語、書写、社会、生活、道徳。中学校の国語、書写、美術、英語、道徳の教科書を発刊しています。

住所:東京都品川区上大崎2の19の9

帝国書院

小学校の地図、中学校の地図、地理、歴史、公民の教科書を発刊しています。

住所:東京都千代田区神田神保町3の29

大修館書店

中学校の保健体育の教科書を発刊しています。

住所:東京都文京区湯島2の1の1

啓林館

小学校の算数、理科、生活。中学校の数学、理科の教科書を発刊しています。

住所:大阪府大阪市天王寺区大道4の3の25

数研

中学校の数学の教科書を発刊しています。

住所:東京都千代田区神田小川町2の3の3

日本文教出版

小学校の書写、社会、算数、生活、図工、道徳。中学校の地理、歴史、公民、数学、美術、道徳の教科書を発刊しています。

住所:大阪府大阪市住吉区南住吉4の7の5

株式会社文教社

小学校の保健体育を発刊しています。

住所:香川県高松市本町6の22

株式会社光文書院

小学校の保健、道徳の教科書を発刊しています。

住所:東京都千代田区五番町14

学研教育みらい

小学校の保健、道徳。中学校の保体、道徳の教科書を発刊しています。

住所:東京都品川区西五反田2の11の8

自由社

中学校の歴史、公民の教科書を発刊しています。

住所:東京都文京区水道2の6の3

育鵬社

中学校の歴史、公民の教科書を発刊しています。

住所:東京都港区芝浦1の1の1浜松町ビルディング10階

学び舎

中学校の歴史の教科書を発刊しています。

住所:東京都立川市錦町3丁目1番3の605

廣済堂あかつき

小学校の道徳、中学校の道徳の教科書を発刊しています。

住所:東京都練馬区貫井4の1の11

日本教科書

中学校の道徳の教科書を発刊しています。

住所: 東京都千代田区神田神保町1-12

地区毎で見ていこう 

小学校・中学校の義務教育の教科書をだしている会社はこのように23社あります。この23社を一つ一つ書いていくと、とっても見にくいでしょう。

また教科書会社の所在地区が重複しているところも多いです。こんな感じです。

東京都千代田区:三省堂、教育出版、清水書院、帝国書院、数研、光文書院、日本教科書

東京都文京区:大日本図書、開隆堂、大修館書店、自由社

東京都品川区:光村図書、学研教育みらい

東京都北区:東京書籍、学校図書

大阪市:啓林館、日本文教出版

23社のうち17社はこの5地区にまとめることができました。この5地区にプラスして残り各社の採択地区を見ていきましょう。

*以下、採択の一覧表は各市町村都道府県教育委員会の公表している資料を元に自作いたしました。

千代田区の結果

三省堂、教育出版、清水書院、帝国書院、数研、光文書院、日本教科書と7社もひしめく激戦地区。

ほぼ全教科書を発刊している「教育出版」を国語の雄「三省堂」、チャート式の「数研」、社会の「清水書院」「帝国書院」が包囲する形です。勝負はいかに?

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教育出版が採用されているのは「書写」「小学校社会」。

帝国書院が採用されているのは「小学校地図」「地理」「中学校地図」。

数研出版が採用されているのは「数学」。

光文書院が採用されているのは「小学校道徳」。

三省堂、清水書院、日本教科書は採択なし。

限られた教科しか出版していない帝国、数研、光文としては所在地でキッチリ採択されているのは大きいですね。

反面、全教科書を発刊している教育出版としては小・中通じて2教科だけというのは寂しいかもしれません。

港区の結果

中学校の地理歴史を発刊している育鵬社があります。

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育鵬社の採択はなし。 

文京区の結果

算数理科の大日本図書、英語と技術家庭の開隆堂、保健体育の大修館書店、歴史公民の自由社という4社がある文京区。

出版教科自体はバッティングしていないので、結果が楽しみですね。

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大日本図書は「理科」。開隆堂は「図工」「家庭」が採択されています。

大修館、自由社は採択なし。

品川区の結果

光村図書は国語を中心に英語、社会、道徳。学研教育みらいは、保体と道徳を発刊。

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光村図書は、小学校の「国語・書写」、中学校の「国語・書写」が採択されています。

学研も小学校の「保健」「道徳」が採択。

光村図書はほぼ所在地の主要教科を抑えていますね。とはいえ、光村図書は国語で圧倒的なシェアを誇るので当然といえば、当然か。

北区の結果

東京都北区にはほぼ全教科を発刊する東京書籍。東京書籍ほどではなくとも国算理生活道徳と幅広く出版している学校図書があります。

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東京書籍は、小学校の「国語」「書写」「社会」「算数」「理科」「家庭」「道徳」。

中学校だと「歴史」「数学」「家庭」「英語」「道徳」と小中合わせて12教科を採択されています。小中合わせて28教科なのでかなりの割合ですね。

元々シェアが高い教科もあるとはいえ、圧倒的すぎない?

学校図書は、採択なし。なんなんだ、この東京書籍との差は…。

豊島区の結果

音楽の専門の会社、教育芸術社がある豊島区。

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小・中共に音楽では教育芸術社が採択されています。

ただ今回の記事のほぼ全ての地区で採択されているので圧倒的なシェアと発刊している出版社が少ないからだと考える方が自然かも。

練馬区の結果

小中の道徳を発刊している廣済堂あかつきがある練馬区。

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廣済堂あかつきの採択はなし。

立川市の結果

歴史の教科書を発刊している学び舎がある立川市。

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学び舎の採択はなし。

長野市の結果

信濃教育図書は、理科・生活を発刊しています。

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結果は、信濃教育図書の理科・生活を採択。

長野市というか、長野県全体で信濃教育図書を一括採択しています。他の都道府県では見かけないけど採択されているのかな?

また長野県はほぼ県全体で、国語は光村、社会は東書、算数は啓林みたいな傾向があります。

採択は各地区の教育委員会ごとのはずなのに「県全体でバラバラにならない」という奇跡のようなことがおこる地区なので色々教育委員会に事情がありそうですね。

大阪市の結果

算数・理科の啓林館、書写・算数・社会・図工・道徳などを発刊している日本文教出版が所在している地区。

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啓林館は小学校・中学校の「理科」が採択されています。

日本文教出版は「書写」「図工」「道徳」「美術」が採択されています。

高松市の結果

保健体育の文教社がある高松市。

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文教社は「保健」が採択されています。一地区を除いて香川県全体でも文教社が採択されてます。

ちなみに高松市というか香川県も長野県と同様の特性を持っています。国語はほぼ東書、社会はほぼ東書、算数は啓林、理科は東書、音楽は教芸、図工は日文みたいな感じです。

こちらも各地区の教育委員会が独自に決めているはずなのに主要教科でほぼ同じ会社を使うという奇跡が起きている都道府県の1つなので…。

全23社中14社が採択

教育出版、帝国書院、数研、光文書院、大日本図書、開隆堂、光村図書、学研、東京書籍、教育芸術社、信濃教育図書、啓林館、日本文教出版、文教社の14社が所在地で採択されています。

道徳・歴史だけ発刊している出版社やシェアの低いところを除くと、三省堂と学校図書以外の会社はほとんど所在地でなんらかの教科書が採択されていることになります。

これを多いと見るか少ないと見るか。

また元々のシェアの差があるので、採択されているから「やましいことがある」、されていないから「クリーン」とも言い切れません。

一方で、地区毎の記述にも書きましたが、県全体で採択されている教科書なんかもあり、色々、複雑なご事情があるんじゃないかと妄想してしまいます。 

しかし目立つのは東京都の北区ですね。東京書籍が圧倒的なのに、同じ本拠地をもつ学校図書は採択なし。

結果だけを見ると、教科書会社は所在地の採択率が非常に高いと思います。やっぱり法人税とか市長や議員との繋がりがあるんでしょうか。

2014年ですが、こういう報道もありましたからね。

三省堂・NPO法人が下村前文科相団体に献金 :日本経済新聞

もちろん教科書は各教育委員会が厳正に選んでいます。うーん、怪しいぞと思っても厳正に選んでいると思います。

2019年は小学校の教科書採択がある年です。主要教科では教科書問題発覚後の初採択です。不正や問題がなく、公正、透明な教科書採択であってほしいですね。では、また。 

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