りょうさかさんと

教育業界にいる陵坂さんが教育・子育て・DWEなどについて書くブログ

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文科省がベネッセに416万支払ってもらった件は、自分に甘すぎ


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あんまり文部科学省批判はしたくなかったんだけど、あまりに酷いので今回は書きますよ。陵坂さんは怒り心頭、怒髪天を衝くでございます。

なぜ怒っているのか? それは自分に甘いブラック企業の体質そのものだからです。教育行政をつかさどる文科省が反面教師でどうする。笑えんわ!

未読の方は、該当の記事はこちらです⇒

文科省、ベネッセに肩代わり依頼 416万円、識者招き:朝日新聞デジタル

識者招請費の不足、ベネッセに「支払いを」 文科省 :日本経済新聞

どういうことが起きたのか

ふー。一旦、落ち着いて新聞からわかる「事実」だけを見ていきましょう。

文部科学省が昨年、大学の評価のために米国から2人の委員を招いた際、1日あたり約50万円の謝礼を求められたものの、国の基準の約2万円しか支出できず、差額分をベネッセホールディングスの関連法人が負担していたことが関係者の話で分かった。

(引用)文科省、ベネッセに肩代わり依頼 416万円、識者招き:朝日新聞デジタル

文科省はアメリカから識者を2名招聘します。しかし、謝礼が国の基準をオーバーしている。困った困った。

カリフォルニア大バークリー校名誉学長とエール大名誉学長を、内閣府総合科学技術・イノベーション会議の上山隆大議員の紹介で招いた。

 国の規定では、こうした委員に対して支払える手当は1日1万7700円。文科省やベネッセの説明によると、両氏は出席を内諾したが、「その金額では行けない」として1日50万円を提示。上山氏の提案で文科省がベネッセ側に協力を依頼し、ベネッセ側も「助言をもらう目的」で支払いを決めたという。

(引用)文科省、ベネッセに肩代わり依頼 416万円、識者招き:朝日新聞デジタル

上山隆大客員教授(政策研究大学院大学)の提案でベネッセに支払いの協力を依頼をした。

同社側は2人に自社のコンサルティング業務を委託することを決定。これを受けて同省が「ベネッセ様からお支払い頂きたい額」として、規定で賄えない計約416万円の見積もりを同社側にメールで送った。ベネッセホールディングス広報・IR部は「(識者に)契約費用を直接支払っており、肩代わりという認識はない」としている。

(引用)識者招請費の不足、ベネッセに「支払いを」 文科省 :日本経済新聞

文科省の依頼のメールを送って依頼。ベネッセは二人とのコンサルティング契約費用として払ったから問題ないよー、という認識。

この記事の流れを整理すると、以下の順序で物事が進んでいます。

A 文科省:上山客員教授の紹介で海外から2人を招聘。でも1日50万円は必要だと言われる。

B 上山客員教授:文科省にベネッセに払ってもらったらええやんと提案。

C ベネッセ:2人をベネッセのコンサルティング業務を委託して、報酬払います。

D 文科省:ベネッセに今回の招聘金額の見積もりをメールで送る。

E ベネッセ:ベネッセの契約費用をベネッセが払っただけ。問題なし。

いや、問題あるやろ! 

これね、元々ベネッセの顧問だったり、業務委託をされている方だったら良いと思うんですよ。

時系列で言えば、

「2人がベネッセの顧問になる」⇒「文科省がベネッセに招聘依頼」⇒「文科省がベネッセに諸費用支払いう」⇒「ベネッセは顧問に契約内の費用を支払う」という順番なら問題ないと思います。

上のアルファベット順で言えば、C⇒A⇒Dの順番ですね。

これなら文科省とベネッセ間の契約ベネッセと2人の識者の契約の2つの契約に過ぎないと思うからです。

でも、今回の件。本来は文科省と2人の識者の契約の間に、ベネッセが割って入ってますよね。しかも内閣府総合科学技術・イノベーション会議の上山隆大議員のご紹介で。

どう見ても肩代わりやん。

文科省は自分に甘い

ただ、わたしは上山客員教授を叩く気はあんまりありません。

上山客員教授は、自分が2名を紹介した手前、ご自身が懇意にしているベネッセ(わざわざ一社を名指しして紹介するんだから懇意なのだと推測します)に頼ってみようか、と善意から提案したんだと思います。

もちろん結果的に肩代わりの仲介役だからダメですよ。意識が甘いと言わざるを得ない。

でもね、海外に人脈を持ち、人を繫げられる方は国にとっては大切です。

こういう意識の甘い方を叩いて、じゃあ面倒くせえから協力しねえよ、と他の識者までなってしまう方が今回の400万円の額なんかより日本にとって損失です。

むしろ「お言葉はありがたいですが…」とストップをかけて法令を守り、意識の甘い識者を守るのが文部科学省さんのお仕事でしょ。

柴山大臣の記者会見では、文部科学省は結果的に強要も便宜も図っていないからOKだそうです。

(参考)柴山昌彦文部科学大臣記者会見録(平成30年12月21日):文部科学省

もちろん法的にはそうなんでしょう。法的にOKなことは当然OKです。日本は法治国家ですから。

でもね、外形的公正性が問われると思います。税金で動いているわけですから、国民が納得いくように誰が見ても怪しまれないプロセスにすることが大事です。

特にベネッセさんには、お世話になってるわけじゃん。

大学新テストの民間試験の1つのGTECもベネッセ。

Japan e-Portfolioもベネッセ。

次期指導要領だと「総合的な探求の時間」が始まります。そこで活用することになるであろうアンケート機能などが入っている「Classi」。これはベネッセとソフトバンクの合弁会社でしょ。

他にもまだあるよね。文科省の動きの中にベネッセはコミットしています。何も問題なければベネッセってスゲーで終わるけど、こういう肩代わりがあると癒着だって疑われちゃいますよ。

税金使ってて、それでなくても怪しまれるんだから法的に問題なくても外形的公正性は担保しようよ。自分に甘すぎるぜ。

問題続きの文部科学省

今回のこともそうだけど、文部科学省は問題続きでしょ。ここ3年間だけで以下の通り。

2016年、教科書問題で3300人を超える教員が教科書会社から謝礼を貰った事件で何人の教員が処分されたか。

2017年、前川喜平氏(元文科省事務次官)が、大学への天下りあっせん問題で事実上のクビ(一応、自己都合退職)。その後、出会い系バーだのなんだの…。

2018年、佐野太氏(元文部科学省局長)が、子どもを東京医科大学に入れるためやなんやらで受託収賄罪。管轄内という意味では医学部入試の男女差別も。

まあ、他にも色々ありますわな。

どうして気を付けようとか思わないの?

自分だけは大丈夫とか思っちゃうの? 過去から学習しないの?

反面教師なの?

こんな文科省みたいに法令遵守の意識が低く、お金で物事を解決するような大人になっちゃいけないよ! っていう子どもへのメッセージ? わかりにくいわ!

ふー。

文部科学省の問題を起こした方々には、小学生からやり直して頂くことをおススメいたします。

一般の先生方の授業は、あなたたちが思う以上に素晴らしく、そして滅茶苦茶忙しいことがよくわかると思いますよ。では、また。