りょうさかさんと

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【書評】西野さんの「新世界」は、やさしい世界


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キングコング西野亮廣さんの新刊「新世界」を読みました。

西野さんの「お金」と「信用」に関する実体験を元に語られる本書。だいたい2時間くらいで読めるんじゃないでしょうか。それでは、どーぞ。

易しい世界

西野さんが語る「えんとつ町プペル」の分業制、クラウンドファンディングという予約販売の話、オンラインサロンという月謝ビジネスの話。

どれも日常にすでにある方法だったり、ビジネスの手法です。けれどインターネットが爆発的に普及した現在では、姿や名前を変えてアチコチにあります。

なぜ姿や名前が変わってしまったのかというと、そこに「信用」が、かけ算されているから。

そういうことを実体験という具体例を元に易しく教えてくれます。

きっと多くの人やブログの感想はこの「お金」にまつわる話が中心になるんじゃないでしょうか。

「お金」のことが詳しく知りたい人は、まさに本書を読んでいただくとして、わたしは別のところを言及したいと思います。

優しい世界

わたしが読み終わった時の感想は、西野さんはとっても優しい方なんだな、というものでした。

本書の中では、繰り返し「信用されているけれど、無名な人」が報われるシステムをつくりたいという意味の言葉が出てきます。

これは「革命のファンファーレ」でも言っているし、日々のブログでも書かれていること。それなのに、優しいなあ、と感じたわけです。

それは西野さんの感情や気持ちが書かれているからです。本文中にもあるオンラインサロンの女性陣の意見で加筆された部分なのかもしれません。

例えば、本書の「レターポット」の箇所に挿入されている「奈良からきた子」とのやりとりです。このやりとりが、わたしは好きです。

そして、西野さんの優しさが現れているのが「わざわざ奈良から来てくれた子に『あんまり面白くないね』と言った以上は代案を出すのが礼儀だよね」(p.263)という台詞です。

本書では、「プレゼントの重要な要素の一つは「時間」」という主旨の文章があります。

プレゼントが「お金」だと「時間」がかかっていないから「寂しく」感じますよね。

「奈良から来た子」は、押しかけプレゼンとはいえ、時間とお金をかけて西野さんのところにまで来ているわけです。

「プレゼント」と「プレゼン」で一文字どころか、内容は大きく違うんだけど「奈良から来た子」の費やした時間とお金をくんで西野さんは上記の台詞を言うんですよね。

この流れから、費やした時間とお金を繋げる「文字」、そして「レターポット」へと内容が流れていく様は、わかりやすいし、ストーリーとしても美しい。 

西野さんの新世界

本書の「はじめに」では、西野さんが高校卒業時のマンションから見た風景、大阪の「新世界」の描写から始まります。

芸人としてどう駆け上がり、今に至るのか。ビジネス書なのに青春小説のような趣すらあります。

そして、「おわりに」では、読者である「キミ」に対しての言葉から始まります。

何も変わらないのは、「キミが弱いからだ」

キビシイ言葉すら優しく聞こえてくるのは「西野さんならでは」のように感じました。

きっと「はじめに」でしっかり描かれた苦悩の時代があるからでしょうね。キビシイ言葉を紡ぎながら、その矛先は過去の西野さんに向けてのようにも受け取れます。

つまり、「読者」である「キミ」は、過去の西野さんと同じなんだよというメッセージなんです。

「過去の西野さん」が現在どうなっているかは、「読者」はみんな知っていますよね?

ビジネス書としても面白く、当然役立つことが書かれている「新世界」。

今回はあえて情緒的な読み方で書評を書いてみました。「お金のこと参考になった!」みたいな感想以外があっても「新世界」ならいいでしょ。

では、また。