RYOSAKASANTO

教育業界にいる陵坂さんが教育・子育て・DWEなどについて書くブログ

2つの理由で説明できるハズキルーペのCMの魅力とモヤモヤの原因


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みなさん、ハズキルーペのCM好きですか?

わたしは見るたびに爆笑してしまうほど大好き。今回はこのCMの魅力とモヤモヤの原因について語りますよ! 

ハズキルーペとは

ハズキルーペの特徴とは…

・眼鏡ではなく、拡大鏡である。

・ブルーライトがカットされている!

・尻で踏んでも壊れない(耐荷重100kg)

・色が豊富にある(新色にルビーカラー)

・日本の高度な技術が使われた「MADE IN JAPAN!」

これ、CMを見た方で知らない方いないんじゃないでしょうか?

商品の特徴がこれだけ刷り込まれるのって稀有ですよね。耐荷重100kgというのはこの記事を書くまで知りませんでしたがwww

詳しく知りたい人は公式サイトにいってくださいな。

ハズキルーペ 公式サイト - Hazuki Company (旧プリヴェAG)

ハズキルーペのCMの評価

では、世間一般のハズキルーペのCMの評価はどんなもんなんでしょうか?

資料を見てましょう。

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(引用)【2018年9月下旬】CMいいね指数アンケート実施!ランキング集計結果

ハズキルーペのCM評価はというとワースト2位!

モヤモヤする、イライラする、うざい、嫌い、どうして棒読みなんだ? とか色々否定的な気分になるのは良くわかります。実はわたしもそうでしたから。

ただワーストにランキングすることはそれだけCMの印象が残っているからこそ。「無名は悪名に優る」という言葉もありますよね。

でも、どうして印象に残るか考えたことはあるでしょうか?

その理由と合わせて、わたしの考えるハズキルーペのCMの魅力とモヤモヤの原因を書いてみたいと思います。

ハズキルーペのCMその1

結論から言いましょう。ハズキルーペのCMのモヤモヤの理由であり、同時に魅力となっているもの1つの要素は「時代遅れ感」です。つまりこの世界は少し前の時代で止まっているんです。

例えばこちらの 舘ひろしさんと松野未佳さんが父役と娘役でホテルディナーをするCMその1。わたしが初めてハズキルーペを知ったCMでもあります。

(ちなみにこの時点の耐荷重は90kg。日々進化し続けているハズキルーペェ…。)

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CMのシチュエーションは、二十歳を超えた娘と父親が二人でディナー。しかもディナー翌日に娘が「楽しかったな」と独り言を言ってくれます。そのことによって父親の「独りよがり」説をかき消す神設定となっています。

このシチュエーション、控えめにいって全父親の夢だと思うんですよ。

いや、別に妻がいても全然良いし、家族全員の方が幸せ度は高いと思います。でもね、二人で食事って父親と娘の仲が相当良くないと実現しないと思うんです。

そして、仲が相当良いだけでも叶わないのがホテルディナーです。

しかもただのホテルディナーじゃない。娘の生まれた年のワイン、花火の見えるテーブル。どんだけ金かかるんだよ。

たぶん仲が良いだけの父と娘なら居酒屋やちょっとオシャレなレストランでしょ。わたしのような庶民ならその方がお互いにリラックスして楽しめそうな気すらしますよ、ほんと。

ホテルディナーって父親側がかなり余裕のある資産状況じゃなければ実現しないし、娘も遠慮してついてきません。

つまりこれだけ奇跡的な状況(仲の良さ・成功)にも持参できて活躍するのがハズキルーペ!ってCMなんです。

CMにはその商品によって解決される欲望や夢、または商品自体のイメージ、雰囲気が反映される考えられます。

例えば注文住宅のCMではたいてい家族が笑っています。何が楽しいのかわからないけど家族が笑顔になる。この場合は、マイホームを購入すれば家族が笑顔になるというイメージを視聴者に与えます。

同様にあのスポーツドリンクを飲めば「ファイト1発!」というイメージを与えるためにCMが放送されるわけです。

では、ハズキルーペの場合はどうでしょうか?

「家族と仲良くありたい」「成功したい」という欲望は至極全うです。そして、その傍にハズキルーペがある。

ハズキルーペがあったら幸せになることが出来るのかな? より幸せになるのかな? そんなイメージを与える作りになっています。

あれ? 一見変じゃないですよね。ではどうして変に感じて、モヤモヤするのか。

もうおわかりですね?

それは「家族と仲良くありたい」「成功したい」という象徴が、ホテルディナー(高級ワイン&花火)という点です。

バブル時代の匂いプンプン。何ここ? 人間交差点? 黄昏流星群? みたいな匂い。

このCMの世界観、価値観は80年代後半から90年代後半なんです。そして、実はこの世界観はその後のシリーズにもしっかり継承されます。

まあ、正直言って、親子というよりキャバクラ嬢との同伴にも見えるような気がしますが。実はこれもシリーズ3作目と伏線となるんですが、次回作はさらに問題作。

ハズキルーペのCMその2

たぶんハズキルーペのCMと言えばこれを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。

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渡辺謙さんに「字が小さすぎて見えなぁい!」 と叫ばせる、菊川怜さんがショートパンツを履いたお尻でハズキルーペを潰すといった演出の異様性。皆さんもひっかかってやまないこの2点に言及していきましょう。

(一応公式には渡辺謙さんが「怒り」をテーマに据えることを提案し、総監督・監督・プロデューサーをハズキルーペの村松会長が行なっているようです)

実は、この「叫び」と「お尻」も「時代遅れ感」で説明することが出来るんです。

渡辺謙さんの叫び

確かに年を取れば字も見えにくくなるでしょう。

しかし、世界の渡辺謙さんに「字が小さすぎて見えなぁい!!」と叫ばせて、企画書らしきものを放り投げさせる必要があるでしょうか? 

老眼に突入した上司だって部下がフォント6みたいなありえない文字サイズの報告書を出してきたとしても怒らないでしょ。静かに呼び寄せて「フォント10.5にして印刷し直してくれないかな?」って言いますよ。

それで心の中で「本当は12くらいの方が読みやすいけど言えないよなー」とか思ってますよ。でもね、ぐっと堪えるの。パワハラとか受け取られたら怖いもん。

でもね、このCMでは渡辺謙さんは叫び、報告書らしきものを放り投げるの。

この動作、叫びの異様性がどこかで見たことあると思って気が付いたのが「巨人の星」!

そう、星一徹のちゃぶ台返しなんです。21世紀に1966年連載開始の「巨人の星」のワンシーンの類似パターンが2018年のお茶の間に流れているんですよ。この時代のズレ、そりゃモヤモヤと違和感を残しますよ。

お尻に耐えるハズキルーペ

耐久性をCMでアピールするのは別に珍しいことではありませんし、古いというより定番の手法と言ってよいでしょう。

例えばG-SHOCKをアイスホッケーのパック代わりにしたCMがありましたし、「100人乗っても大丈夫!」といった掛け声を思い出す方も多いはずです。

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では、なぜ耐荷重をアピールするのに菊川怜さんのお尻である必要があるんでしょうか? 

服着てても60kgもないよ、たぶん。もし耐久性をアピールするのなら菊川怜さんより渡辺謙さんが踏みつけた方が説得力ありますよね。菊川怜さんの体重が実は100kgオーバーだとかエビデンスがあったら別だけど。

ぶっちゃけ尻と足を合法的に撮りたいだけでしょ。

「耐荷重を証明する」という大義名分の元、女性のお尻で踏ませるってわたしにはどうしてもオッサンのスケベ心を感じます。

しかもシリーズ1作目との違いは、偶然か故意かという点です。シリーズ1作目の松野さんは偶然、ハズキルーペの上に座ってしまいました。つまり日常生活の延長線上という演出なんですね。

しかし、菊川怜さんは違います。渡辺謙さんの掛け声のもと意図的にハズキルーペの上に座るわけです。

この演出の違いとやり方が露骨古臭いと感じさせる。なんか昔の金持ちの道楽みたいです。金持ちがこんな遊びするのか知らんけど。この時代遅れ感がモヤモヤの原因なんです。

ハズキルーペのCMその3

もう読んでてだいぶ疲れてきたでしょ。その3はあっさり終わるからもう少し付き合ってね。

今絶賛放映中のCMその3は武井咲さん、小泉孝太郎さんが新登場し、久しぶりに舘ひろしさんが帰ってきました。

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CMその1で「まるでキャバクラの同伴のようだ」と指摘しましたが、ついに舞台が高級クラブ(?)になります。イメージは銀座でしょうか? 知らんけど。

そこに訪れる小泉孝太郎さん、出迎える武井咲さん。そして、先にボックス席に入っている舘ひろしさん。しかも高級クラブでハズキルーペを販売する設定です。もはやこの程度では驚きもツッコミもする気がおきません。

舘さんはここでも武井咲さんの誕生年のワインを空けています。この人、それしかしないのな。

「字が小さすぎて読めなぁい! 謙さんの」と小泉孝太郎さんがさらりと渡辺謙さんイジリとメタ発言の合わせ技を披露し、存在感を見せつけます。

気になる「お尻でハズキルーペの踏みつけ」は、なんと4連撃! 一気に4倍です。その辺のスマホゲーも真っ青のインフレ加速を見せつけます。おそらく次回作では10連撃ですよ。

もちろんここでも偶然性など皆無。ママである武井咲さんの掛け声のもと、ホステスさんが言われた通りにお尻で踏みつけます。なんなんだよ、この悪夢。

20代向けに作られたというこのCM。銀座のクラブが20代に刺さるのはいつの時代なんでしょうか。バブル期ってよっぽど幸せだったのかな?

と、まぁこのようにシリーズ3作目はこれまでの1作目、2作目と同じ方向性(時代遅れ感)のままさらに加速していると言えるでしょう。

このようにハズキルーペのCMには一貫して現代(2018年)とは違う、10年くらい前(それ以上?)の時代設定です。そして、時代のズレは、価値観のズレです。

あたかも現代のように見えるのに実は時代のズレがある。そのギャップのせいで今の価値観が通じるようで通じない世界がCMとして放映されている。

これがハズキルーペのCMを見て、あなたが感じるモヤモヤやイライラの原因です。

一方、あなたがCMを見て感じるモヤモヤ、イライラはこれだけではないはず。次はその部分について。

CMで商品の特徴を連呼

さて、これまであえて触れて来なかった部分についてようやく語りたいと思います。

ハズキルーペのCMではこれでもかと商品の特徴・セールスポイントを豪華俳優陣が喋ります。

この点について、総監督・監督・プロデューサーを務めた村松会長がインタビューで以下のように述べています。

タレントのプロモーションビデオではなく、スポンサーが商品を売るためのCM

(引用)ハズキルーペの全てを明かします Hazuki Company・松村会長 (1/3) - ITmedia ビジネスオンライン

確かに最近は何のCMなのか一見わからないようなイメージ優先のCMが目立ちます。では、どうしてあれだけ商品の特徴を言われることにモヤモヤするんでしょうか?

すぐに思いつくのは「ストーリーの中に無理矢理商品のセールスポイントが埋め込まれているから」というもの。

「あ、ブルーライトがカットされている」「さすがメイドインジャパン」など日常会話では口にしない台詞が出てきますよね。

ちなみにブルーライトについては諸説ある模様。(参考)スマホのブルーライトは視力に悪影響? 視力低下に関係ないという研究も | ライフハッカー[日本版]

しかし、この日常会話では使わない日本語を面白くも感じているはず。実際、わたしはこのあざとさが面白くてたまらないんです。

そして、これはわたしが子どもの頃から見てきた「あの広告」、今もなお続く「あの広告」の要素に非常に似ているからではないか、と気付きました。

それが、進研ゼミの漫画!です。

「ここ、進研ゼミででたところだ!」「あ、これゼミでやったのと同じだ!」「毎日15分でいいから簡単だ!」 などなど、こちらも負けず劣らずストーリーの中に使うことのない日本語が頻出します。

定番のストーリーに決め台詞と商品アピールを強引にぶちこむスタイル。

進研ゼミの漫画を楽しみに待っていたわたし世代にとってハズキルーペのCMの笑いの質は同じだと思います。

これに前述の時代のズレによる「価値観のズレ」。そして、進研ゼミの漫画のような「日常生活に出てこない会話」。もうここまで来ると異次元です。同じ2018年の日本のはずなのに別の並行世界を盗み見しているような気分です。

ハズキルーペのCMを見ていてモヤモヤが生じた時にぜひ、思い出してみて下さい。「あっ、これゼミでやったのと同じだ!」「これ、陵坂さんが言ってたやつだ!」

ハズキルーペのCMという並行世界

ここまでCMシリーズその1~その3までの面白さの根源を解説してきました。

堂々としすぎて気付かないくらいの時代のズレ進研ゼミスタイルの合わせワザによる並行世界。これを渡辺謙さん、舘ひろしさんの名演技、武井咲さん、小泉孝太郎さんの若手俳優の怪演で織りなす様はまさにカオス。混沌です。

「深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいている」

これはニーチェの言葉です。もしかすると「ハズキルーペのカオスをのぞく時、ハズキルーペもまたこちらをのぞいている」のかもしれません。

と、ポエムはこのくらいにして…

これだけカオスなのにCM効果は抜群だと言われています。

あなたは、不思議に思いませんか?

その部分について資料を見ていきましょう。

リーチしたい層に徹底アピール

まず特筆すべき点はハズキルーペの圧倒的なテレビ広告数です。

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これはハズキルーペの公式HPから引用したもの。

これだけの数の番組でスポンサーになっています。見てもらうとわかるようにほとんど2時間置きに8時~21時までの時間帯をカバーしています。そりゃ一日に一回は最低目にするはずです。

またテレビの基本視聴者層とハズキルーペの購買層、潜在購買層とも合致します。 

以下の資料をご覧ください。

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(引用)関係情報:情報通信関連:情報通信白書平成29年版 

ハズキルーペは40代以上の男女をターゲットに商品を展開しています。この総務省のデータを見てわかるようにテレビを見るのは40代以上が中心。

しかもこの年齢の世代はインターネットやSNSによる情報収集は他の世代より低い。つまり40~60代へのアピールはテレビが非常に有効というわけです。

一言で言えば、自社の購買層に向けてインパクトの残るCMを絨毯爆撃しているってことなんですね。

しかも「モーニングショー」「ビビッド」「とくダネ」「ひるおび!」「バイキング」「ミヤネ屋」「サンデーモーニング」」と朝のニュースとワイドショーを広範囲にカバーしています。

全部40~60代の特に主婦が好きそうな番組ばかり。ワイドショー対策と同時にテレビ局の大手スポンサーとしてのポジショニングも行う広告費の使い方。ここまで徹底できるのはさすがの一言に尽きます。

ハズキルーペのCMの今後

ハズキルーペのCMの面白さの秘密、いかがだったでしょうか。見るたびに発見と笑いを提供してくれる平成最後の名CMのひとつだと思います。

わたしはこのブログを書くためにも何十回も見直しました。特にその2以降の村松会長が監督を務められたCMは良いですよね。何度見ても心に引っかかる。今後もぜひ村松会長には総監督を続けて頂きたいものです。

さて、気になるのは次なる展開…。

個人的には村松会長自身に登場してほしいなぁ、と思います。渡辺謙さんを始めとする出演者に演技指導するというメタ的演出でセールスポイントを連呼するのはどうでしょうか?

会長自身が登場することで「ジャパネットたかた」的要素も加わり、最高に面白くインパクトが残るCMになるような気がします。

あなたもぜひ、友人と次回作について話し合ってみて下さい。絶対楽しいよ。

余談ですが、わたしの視力は1.0。ハズキルーペが必要な視力ではないことが残念でなりません。では、また。

まじめな記事もあるよ
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