( Photo by Lorenzo Cafaro from Pexels)
どうも陵坂です。
みなさん、投資してますか? ビビりなわたしは重い腰を上げてこの2年くらいようやく投資を始めました。やってみれば勉強になることが多く、儲けや損という以前にやってよかったと思うことが多いです。(もちろん儲かってほしいですが…)
一方で、投資に否定的な方が多いのも事実。どういう理由が多いのか自分の経験や記憶を頼りに考えてみると以下の4つが思い浮かびました。
ギャンブルのように見える、減るかもしれないという不安定さが嫌、金儲けに必死な感じが感情的に微妙、楽して稼ごうとしているように見える。
この四つは的外れかもしれないし、似たような感情をお持ちの方もいるかもしれません。
特に年配の方は否定的な方が多いような印象。年配の方が若者の投資を止めたがる理由について考えてみました。
(高齢者の定義が曖昧で少し前は定年を迎える60歳でしたが、今は65歳以上を表現することが多いようです。この記事ではざっくり60歳以上という扱いで使用します。)
みんなはどんな金融資産を持っているのか
まず現状について把握をしてみましょう。日本証券業協会さんが統計資料など色々公開をしてくれています。
(引用)証券投資に関する全国調査(調査結果概要)平成27年11月 日本証券業協会
こちらを見ると約92%の人が預貯金をしていて、株で13%、投資信託で9%の人が行っているという割合です。従業員100人の会社で投資信託をしている人が9人しかいないってこんな低い割合で本当かな? と思ってしまいますが信頼は置けると思います。
と言うのも、調査方法として訪問留置法を採用し、調査数に関しても7000人となっています。年齢別や都道府県ごとにどれだけの調査数が行われたのかはわかりませんが、かなり目安になる数字です。
訪問留置調査とは、調査員が対象者宅を訪問し、その対象者にアンケート用紙を渡して記入依頼を行い、後日回収に伺う手法です。
(引用)訪問留置調査 | 株式会社 電通マクロミルインサイト
というわけで、やっぱりかなりの人が投資をしていないわけです。もう投資しているだけで少数派ですよ。
投資している人の年齢層
じゃあ、どんな人達が投資をしているかというと実は高齢者の比率が大きい。
調査時期・方法は違うけれど同じ日本証券業協会の調査では証券保有者の年齢の割合を調べています。これによると60歳以上が38%を超えています。50歳代が31.4%と一番多いので50歳以上で合計すると実に70%近い割合を占めます。
(引用)個人投資家の証券に関する意識調査【インターネット調査】(概要)平成29年10月17日日本証券業協会
これには色々な理由が考えられます。高齢者の方が残りの人生を考えやすい(失っても良い金額が明確)、単純に運用に回せるだけの資産が他の年代よりも多いなどが考えられます。
ただこれは証券保有者の割合です。一番最初の資料によると株式を保有しているのが全体の13%。そのうちの38%が高齢者になるわけです。
じゃあ、そもそも高齢者の人口における割合はどうかというと国立社会保障・人口問題研究所の資料によると60歳以上は33%となっています。
仮に100人いれば、そのうち13人が株を持っていて、13人のうち約5人が60歳以上という計算です。全体100人中60歳以上は33人なので証券保有者は高齢者の15%という割合。
つまり高齢者の6.6人に1人しか「投資」をしたことがないわけです。
さて、ここで冒頭の疑問を思い出してもらうと「どうして年配(高齢者)の方ほど投資に否定的なのか」という点です。
金利の推移
個人的に思うのが、預金金利の利率が影響しているのではないでしょうか。
今60~70歳の人は1950~60年代生まれですよね。その人たちが働き盛りの30~40歳の時、つまり1980年~90年の預金金利はこちら。
画像はこちらからお借りしました。
(引用)http://定期預金金利比較-口コミ人気ランキング.com/kihon/kihon17.html
変動していますが、普通預金の金利で1~2%、定期預金の金利は2~6%。
現在2018年5月29日現在の普通預金の金利は、メガバンクは0.001%。それ以外も含めると高いところでも0.02%という金利です。
定期預金の金利(5年)は、メガバンクは0.01%。それ以外も含めると高いところで0.30%です。
(参考)【普通預金の金利を徹底比較!】普通預金金利の高さで選ぶ!おすすめネット銀行ランキング!|ネット銀行比較|ザイ・オンライン
【定期預金の金利を徹底比較!】定期預金金利の高さで選ぶ!おすすめネット銀行ランキング!|ネット銀行比較|ザイ・オンライン
ちょっと計算してみよう
多くの方はメガバンクを利用していると思うんですが、メガバンク同士を比較するとどうでしょうか。
(前提)預金利息の変動など諸条件があるので現実とは違います。感覚的にどれくらい差があるのかという目安にしてください。(実際には利息に対しても税金がかかります)
普通預金で10年の比較
仮に1000万円の普通預金があったとします。
1980年~90年代の10年間の普通預金について仮に1%だと仮定すると1年間の利息は10万円になります。
これを10年継続すると複利の関係で10年間の利息の合計は約104.6万円(1,046,244円)になります。
でも、ここ10年の利息は0.001%。1年間なら100円、10年なら1000円の利息です。
104.6万円と1000円。その差…104.5万円。
全然違いますよね。
定期預金で10年の比較
こちらも同様に1000万円の定期預金があったとします。
1980年~90年代の10年間の定期預金について仮に2.5%だと仮定すると1年間の利息は25万円になります。
これを10年継続すると複利の関係で10年間の利息の合計は約280万円です(2,800,845円)になります。
でも、ここ10年の利息は0.01%。1年間なら1000円、10年なら10,005円の利息です。
280万円と1万円。その差…279万円。
圧倒的差…!!!
(注)預金金利が高いということはローンなどの金利も高かったわけで、実際にはもっと丁寧な比較が必要です。
まとめ
まず事実として投資をしているのは10人に1人くらいしかいない。そして、その比率は高齢者の方が高いとはいえ、6.6人に1人の高齢者しか「投資」をしていない
そして、そういった高齢者の方が30~40歳の働き盛りの頃はちょうどバブル前後。当時は専業主婦の奥様に家計を丸投げしていて、おそらく資産のほとんどは定期預金や普通預金に回していたはず。
それでも10年間、定期預金に入れていれば約20%は増えていた時代だったんです。この記憶が数字としてではなく体感として残っている。銀行預金というリスクの少なさで20%ってなかなか凄いですよね。
コツコツやっていれば気が付いたら「とても増えていた」という経験があるからリスクを負う投資に否定的なんではないかと考えたわけです。
ただ現在の金利はバブル時代はほど遠いゼロ金利時代です。なんとなく預金しておけば増えるなんてことはありません。
投資の経験がなくて安定して増えていた時代に過ごした方からは、あまりに違う現在の状況に対して聞けるアドバイスって限られるんじゃないでしょうか。そういった時に出来ることはまず自分と家族でこれからの目標について考えることです。
まず人生設計から立ててみるといいんじゃないでしょうか。わたしもそんなことから始めていきたいと思います。
じゃあ、また。