陵坂と考察と

教育関係会社員が教育を中心に考えたこと、思ったことを書きます。

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うんこ漢字ドリルと学参市場のブルーオーシャン

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(Photo by Sasha • Stories on Unsplash)

今回はのお話は、ブルーオーシャン

これはマーケティング用語で「競争のない未開拓市場」とよばれる空白地帯のことです。以前、学参市場について記事にしましたが今回は学参市場のブルーオーシャンについて考えてみましょう。

実はそれを教えてくれたのは「うんこ漢字ドリル」です! この時点でなんかネタ感が出てしまいますが、真面目です。

ただ「うんこ漢字ドリル」についてはこれだけのヒット商品なので既に書かれているものもあります。話題性であったり、学習効果については既に色々なポジションから書かれています。

そういう話題はわざわざ頑張って書く必要もないわけで、どうしようかなあと「うーん」と唸って考えました。悩んだ末に「うん、これでいこう!」と決めたテーマがマーケティングでした。

 

すいません、「うん、これでいこう」を書きたかっただけです。

前振りが長くなってしまいましたが「うんこ漢字ドリル」のマーケティング的な側面から次の「ブルーオーシャン」について陵坂が考えたことを書いていこうと思います。 

うんこ漢字ドリルとは

これだけのベストセラーなので名前くらいは聞いた方も多いと思いますが、ご紹介。

公式WEBサイトの紹介文が滅茶苦茶わかりやすいから引用します。

1年生から6年生までの、3018例文すべてに「うんこ」という言葉を使用!

たとえば3年で習う「号」という漢字なら...

出席番号( )順にうんこを提出する。

 月刊うんこの四月( )でぼくのうんこがしょうかいされている。

 うんこを表す記( )を考えました。

こんな例文で、子どもが笑いながら勉強できる、日本初の漢字ドリルです。

(引用)日本一楽しい漢字ドリル|うんこ漢字ドリル (公式)

文字を打ちながらニヤニヤしちゃった。大人でもクスリと来てバカだなーと思えるドリルに仕上がっています。

ちなみに2017年6月の時点で累計220万部を突破とあるのであれから約1年が経過。どれだけ売上を伸ばしているのでしょうか。

(参考)累計220万部突破の大ヒット『うんこ漢字ドリル』、まさかの“大人版”が!? | ダ・ヴィンチニュース

ちなみにグッズも200点以上あり、「カレー」も発売されています。

「コーン」入りだったり、ジャケットに「くそうまい!」と書いてます。

個人的には「うん! この味!!」ってキャッチコピーも欲しかったですね(笑)

(参考)なぜ商品化を許した! 『うんこ漢字ドリル』カレー、販売元に聞いた - withnews(ウィズニュース)

学参業界のポジショニング

学参については様々なジャンルがあり、またシリーズで全教科出しているものもあれば特定の教科に特化したシリーズ、単品で完結するものがあります。

そのため既存商品の位置付けがわかりにくくなっています。そこで簡単なポジショニングマップを作ってみました。

縦軸の上にいくほど「受験用・専門」的な学参であり、下にいくほど「入門・苦手克服」的な学参としました。

横軸は右にいくほど「軟派」なデザインであり、左にいくほど「硬派」なデザインとしました。

*縦軸は難易度と理解してもらっても構いませんが、例に挙げた問題集の質的な中身を保証するものではありません。あくまで消費者の印象としてこうではないかというポジショニングです。

*デザインは主観に左右されますが消費者の手に取る印象を想定して位置付けました。

*各商品はそのジャンルの象徴として選んでおり、ジャンル内の学参の優劣をつけるものではありません。(ドラえもんドリルと比べて他のキャラクターを表紙にしたドリルが悪いって意味じゃないってことです)

(使用したサイト)ポジショニングマップ.COM | ポジショニングマップ作成アプリ

ポジショニングマップを見てみよう

さて、ポジショニングマップを見てもらいましょう。

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このポジショニングマップは「うんこ漢字ドリル」の登場前です。

左上の「受験用・専門、硬派」には高校進学校向けの教材やセンター過去問などが位置します。右上には「受験用・専門、軟派」には同じく受験ものですが表紙などにキャラクターを利用して手に取りやすくしている学参がきます。

あとは真ん中から少し下よりに「入門・苦手克服、軟派」にドリルなどの学参が位置します。

見た目の印象と中身を「簡単、易しそう」と一致させることで消費者も「これなら出来るかも」と思わせるためです。

学参購入の心理的なブレーキは「買ってもやりきれないで挫折するかも」と思うことで、それを緩和するための戦略が表紙にドラえもんなどのキャラクターを用いることもポピュラーな手法です。

実際は途中で挫折したとしても挫折するまで活用した努力や勉強したことは何か残ると思うのですが、やはりお金を支払う親としてはポンポン問題集を買えないので100%やり切ってほしいですよね。 

うんこ漢字ドリルのポジション

では、うんこ漢字ドリルのポジションはどこにくるのでしょうか。

うんこ漢字ドリルは名前の通り「ドリル」なので縦軸は「入門・苦手克服」、あのデザインとコンセプトなので横軸は「軟派」になります。

つまり、ここ。

 

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ポジションを見てもらうとわかる通り、右下は「うんこ漢字ドリル」がポジションを独占しているというわけではありません。

いわゆるキャラクターが表紙のドリルなどの軟派系ドリルは数多くあるからです。では、なぜここまでのヒットなったのか。

それは徹底したからです。 

中途半端を嫌ったコンセプト

何を徹底したか、それはこのポジショニングマップで言えば一番右端の角を取ろうとしたってことです。つまり完全無欠の軟派デザインです。

大人なら誰だって子どもが「うんこ」などの下ネタが大好きでゲラゲラ笑うことを知っています。でも、この言葉は学参という「学び」ではタブー扱いですよね。普通に考えたらまず出てこない言葉のチョイスです。

表紙は「うんこ先生」、例文も「うんこ」ここまで徹底してやれば、一番右端の角を取れます。

なので「うんこ漢字ドリル」はポジショニングマップだとドラえもんドリルのすぐ右って感じだけど体感としては1メートルは離れている感じ。それくらい極端なポジションをとってると考えて良いでしょう。

この商品は学参専門出版社には出せなかったと思います。

では、なぜ一番端の角を取る必要があるのか。これはオセロと一緒ですよね。角は強いです。強いと言っても売れるという意味ではなく、「個性」になるからです。この「個性」はSNSの時代には強烈な後押しになります。だって「うんこ漢字ドリル」の例文読んだらシェアしたくなるでしょ。

またこの「個性」を利用した宣伝も従来の学参専門出版社にはなかなか出来ないことでした。具体的な時期は覚えていませんが、確か発刊まもない段階から電車の車内広告も行っていたはずです。学参の電車広告自体珍しいことです。

まず珍しい理由自体は簡単で一番大きい理由は、広告費用に見合うだけの売上がそもそもないという点です。学参全体の書店に占める割合はわずかです。その中のある一社のある商品というのはさらにわずかになります。それで広告を打って「どれだけ伸びるんだ?」「数字にどの程度反映されるのか?」となるわけです。

また学参特有の問題があります。それは類書が豊富な上に、購入時点で明確な差がつけにくいことです。(使うとわかる部分が多いので受験生は口コミやレビューを頼りにしますよね)

書店に行って、パラパラ数ページ見て各学参の特徴や目標レベル設定がわかる人はたぶんプロだけです。一般の保護者の方でわかる方はかなり少数派だと思います。

仮に広告を行い、消費者が書店に来てくれたとしても書店には数多くの類書があり、中を開けてみるとあんまり違いがわからない。これでは広告の効果を活かしにくいのではないでしょうか。

その点、ドリルという立ち位置は明確なのに「うんこ」という唯一無二の個性をもった「うんこ漢字ドリル」は消費者にとって大きなインパクトになり、広告の効果も見極めやすかったはずです。 

次の狙い目は何か

さて、「うんこ漢字ドリル」のお話しはこれくらいにして、次に流行る学参はなんでしょうか。「うんこ」の次は「ち〇こ」「ち〇ち〇」かというとそんなに甘くないでしょう。もう一度ポジショニングマップに戻って見ましょう。 

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右下の枠は「うんこ漢字ドリル」で埋まってしまいました。となると残った枠。

世のサラリーマンの多くが求める争いのない独占地帯「ブルーオーシャン」左下となります。

 

つまり「入門・苦手克服、硬派」

 

入門編なのにめっちゃ難しそうに見える(笑)、という相反するコンセプトと中身を両立させる商品が出来ればライバル皆無の独壇場です。

うんこ漢字ドリルと同様に徹底的に個性を立たすことが出来れば意外と「うんこ漢字ドリル」を購入した層と全く同じ層にアプローチできるのではないでしょうか。

具体的に提案すると…

表紙デザインは「アルマーニ」など有名ファッションブランドに黒基調でお願いし、漆黒の分厚い背表紙を付けましょう。

もしくは腕時計のウブロを意識してヒョウ柄にしたり、チタン合金の鋲で製本しちゃいましょう。  

とにかく見た目はカッコイイ、ハイセンス、ハイソサエティな感じ。

保護者が思わず自分のメモ帳に買いたくなるようなデザインにしておいて、中身は「帝王学」的内容の例文を使ったドリルや問題集にする。

これくらいやれば身の丈に合わない背伸びをしたい保護者や児童が買ってくれるかもしれません。 

まとめ

・学参ジャンルの中で角の一つを取ってるのが「うんこ漢字ドリル」

・その反対の位置にある「入門・苦手克服、硬派」の学参市場がブルーオーシャン。

しかし、ブルーオーシャンということは誰も飛び込んでいないということ。

実は底なし沼なのかもしれません。

じゃあ、また。 

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