英語の話題が多めなので今回は算数についてしてみようと思い
「読み書きそろばん」という言葉があるように「算数」及び「計算」の大事さについては多くの方が共通する認識を持っていると思います。
算数教育について一般の方が話題にしやすいのはだいたい以下の2点。
「円周率」と「文章題の式の順序」です。
円周率は、「3.14」か「おおよそ3」かについて議論が噴出したことがあります。こちらは結局「3.14」に戻ったのでご安心下さい。
文章題の式の順序は「1個50円のリンゴが3個ありました。合計何円になりますか」みたいな問題の正解は「50(円)×3(個)」とすべきみたいな考えに対しての賛否です。
式の順序についてはいずれ扱いたいと思いますが、今回はその2つの大きな影に隠れて目立たない概算の重要性について述べたいと思います。
概算について
「おおよそ」「約」といった言葉のつく数字のことを概数と言います。
日常生活では「おおよそ5万人が集まりました」「いや、約3000人じゃないか」みたいなやり取りで使うなじみ深いものです。
概算とは、概数を使って近似値を求める時に使います。
問題例
Aさんはドーナツチェーンのポイントが5000円分溜まりました。
今日、ポイントを使ってドーナツを4個買いました。4個合計の価格は524円でした。
Aさんはポイントであと何個のドーナツを買うことが出来ますか。
通常の計算
まずドーナツ1個の価格を計算します。
524÷4=131(円)
5000円で何個買えるのか計算します。
5000÷131=38.167…
すでに4個購入しているので
38-4=34
(答) 34個
概算の場合
5000円と524円の数を近づけるために524円を10倍します。
524×10=5240円。
当然、5240円でドーナツを40個購入することができます。
524円でドーナツ4個なので、ドーナツ1個あたりの値段は100円以上200円未満。
(100円×4=400 200円×4=800)
400と800の2つのうち524に近いのは400の方なので100円よりの数字になると考えられます。
5000円よりオーバーした240円で購入できるドーナツは1~2個。
つまり5000円で購入できるドーナツは、38~39個。
すでに4個購入しているので、38~39個から4を引きます。
(答)34~35個
概算のメリット
やり方が色々あると思いますが、陵坂ならこうやって計算するかなという例です。
ちなみにこれは先日、某「ミ〇タードーナツ」で購入した時にあった実話です。ポイントの5000円もドーナツ4個で524円も実際の数字です。残りの「楽〇ポイント」であと何個買えるか妻と計算したエピソードが元になっています。
こうして文章にしてしまうと通常の計算の方がシンプルで、概算の方が文章も長く、面倒くさい印象を持たれるかもしれません。
でも実際には暗算しにくい小数点、繰り上がり・繰り上がりのややこしい計算をしなくて良いので概数を用いた概算の方が簡単で便利です。
日常的にはスマホの電卓もあるので小数点があろうが「大丈夫」という反対意見もあると思います。
でも思い出してください。アパレルショップのセール時に「8900円の20%後の価格、30%後の価格」みたいな早見表を掲示しているお店がありますよね。
これって多くのお客さんがスマホで計算するのが面倒だから設置しているんじゃないでしょうか。
そして、そういうサービスを全ての店舗で行われているわけじゃないよね。
概算をもっと大事に扱って
この概算はもちろん小学校の教科書で習いますが、あまり重要な位置付けではありません。
そりゃ、テストなどほとんどの場合で厳密かつ正確な答えが求められるから仕方ありません。
円周率「3.14」を「おおよそ3」にするなんてけしからんという方の理由も同じですよね。
0.14も違う数字を用いて計算し、出てきた数字を答えとして良いのか? ということです。
これは算数・数学的にはとても大切な観点です。
つまり学問的に大事な要素と日常生活の利便性が概数においては必ずしも一致しないんですよね。
そして、教育である以上自然と「厳密な答え」を求める機会が大多数を占めてしまいます。
だからこそ、概算・概数の取り扱いについてはぜひ丁寧にやってほしいなと思います。だってその時の学年を受け持った先生がしっかりとした授業をしないとほとんど学ばないまま大人になってしまいますからね。
学問としての学びと日常生活での活用の両方を大事してもらいたいと思います。
ほな、さいなら。