どうも陵坂です。今回はリテラシーにまつわる話です。と言ってもいつものように文部科学省のWEBページを紐解いて解説をしたりはしません。リテラシー(読解記述力)についてはメディア・リテラシー、情報リテラシーといった直接的な言葉は使わないまでもテレビやニュースを教材に取り組まれています。
少し前ですが教員が社会の授業で自分の思想を反映した教材を扱って報道されることがありました。きっと児童生徒にリテラシーがあったからこそ「この授業はおかしいぞ」と保護者に伝えたのだと思います。
一方でたぶん先生が言うならそうなんだ、と思ってしまった児童生徒もいるんじゃないでしょうか。結構大人も無自覚にニュースやネット記事を見てしまってますよね。正直、自分自身もしっかり出来ていると胸を張って言える自信はありません。
さて、前置きが長くなってしまいましたがメディア・リテラシーの話をしましょう。
メディア・リテラシーって何?
本を読んだり、書く前に事前にネット検索もしましたがそれぞれ微妙に定義が違います。
総務省の資料によると以下の3つが柱のように読み取れます。
メディア活用能力、メディア読解能力、コミュニケーション創造能力といった総合的なICT メディアリテラシー
(引用)平成18 年度総務省事業「ユビキタスネット時代における新たなICT メディア
この記事では特に「メディア読解能力」を取り上げたいと思います。メディア活用能力はいわゆる「ググる」力のことでしょうし、コミュニケーション創造能力はSNSなどの活用などが当てはまるのでしょう。これらは当然大事ですが今回は割愛です。
ちなみに総務省より学校などで使える教材が公開されています。
どの程度の信頼度なのか
メディア・リテラシーの前にそもそも国内ではどの程度マスコミの情報が信じられているのでしょうか。そのデータは総務省から公開されています。今、一番新しいものだと平成29年のものですね。
(引用)平成28年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査 報告書(平成29年7月 総務省情報通信政策研究所)http://www.soumu.go.jp/main_content/000492877.pdf
テレビ、新聞ともに約60%以上の人が信じています。一方でインターネット30%、雑誌20%という状況です。高齢者ほどテレビ・新聞を信じるのは想像通りですが、10代・20代の若者も66%は信じていて、一番低いのが30代というのは驚きです。
高齢者の新聞を信じる人が77%というのはかなり高い印象があります。
誰が得するのかという視点
基本的には「批判的に見る」というこのブログで何度も取り上げてきたことに繋がるのですがテレビ・新聞・ネットの報道の場合、もう一つの視点を加えてみて情報を考えて欲しいと思います。
それは「誰が得するのか」という視点です。
例えば少し前に一時的に炎上した「公立小学校でのアルマーニ制服(標準服)」案件です。このブログでも取り上げました。
ネットや実生活でこの話題については話をした方もいると思うんですが、この中央区立泰明小学校の話を聞いた時に、自分や子どもの通った小学校に照らし合わせて受け取った方ってとても多いんじゃないでしょうか。
実際の中央区の家賃や制服の相場、反対意見が数件のみということ、一方で中央区であっても生活が苦しい世帯がいること等、このことを調べた方ってどれだけいるのかな、という印象です。 ちなみに新一年生の保護者は標準服を購入されたようです。
得をするのはまず報道する会社
さて、今回の件で得をした方っているんでしょうか。校長も卒業生も在校生も、こんな形で学校がニュースになるなんて得しませんよね。
まず一番に思い浮かぶのはマスコミですよね。元々の記事を書いた会社は当然得をしているでしょうし、便乗して扱ったメディアも視聴率を稼ぐのがお仕事ですもんね。
それが当たり前、民間だもん。テレビも新聞もNHK以外は民間なんだから、お客さんのために仕事をしています。
お客さんというのは新聞なら購読者と広告を出してくれる会社、テレビならスポンサー企業。テレビを無料で見ている視聴者は会社にとってはお客さんじゃない。だからクレームもテレビ局に直接言うよりスポンサー企業に訴えるのが効果的だと言われるわけです。
この辺は「テレビの裏側がとにかく分かるメディアリテラシーの教科書」(著者:長谷川豊)を読んでください。(このブログ記事全体も参考して書かせて頂いてます)
じゃあ、得したのはマスコミだけでしょうか。他に得した人はいませんかね。思い浮かばない人は次の視点をもってニュースを読んでみましょう。
情報源を気にする視点
そもそも最初のハフポストの記者はこのことをどうやって知ったんでしょうか。教育委員会その他にネットワークを張っていたらわかったことなんでしょうか。勿論その可能性も否定できません。
ただ通常このアルマーニの制服のことを知りえたのは学校関係者のみです。つまり教員、保護者、地域の方です。誰かがマスコミに情報を流したと考えるのが自然です。
様々な理由から標準服を良しとしない教員がしたのかもしれないし、卒業生の保護者かもしれないし、在校生の保護者、新入学する児童の保護者なのかもしれません。
この答えは基本的に出ません。しかし、そういったことを頭に思い浮かべながら記事を読み返すと見方も変わって来るのではないでしょうか。
(注・大丈夫だと思いますが教員・保護者が悪いという意味には捉えないで下さいね)
ちなみに芸能人の熱愛発覚報道の情報源は、だいたい3つだそうです。
「本人同士のどちらか」「マネージャーなど所属事務所」「友人」と聞いたことがありますが真偽はわかりません。本人がリークするのは結婚に向けて外堀を埋めるのが目的なそうな。
スキャンダルが出た芸能人が出演するドラマや映画の公開が近い場合はマネージャーさんや事務所による売名行為だとか。確かに映画の舞台挨拶とかに頼まなくても取材にやってきて、ワイドショーで宣伝してくれるしね。
自称「友人」のリークって有名人って辛いですね。
本当かどうかわかりませんが、こういう視点を持って見ようという意味では参考になるお話です。
正論のようなキーワードに着目する
さて、アルマーニ制服案件の例に話を戻すとこの話題でキーワードになったのは「公立学校での逆選抜」というもの。こういうワードって弱いよね、みんな。差別が行われているんじゃないか、みたいな文脈で使うと誰も反対しにくいよね。だって反対したら「差別認めるのかこの差別主義者め」って非難されかねないし。
でも、心の中で本当かな? と一度立ち止まって考えて欲しい。
今回の場合、記事にも書きましたが中央区という全国地価NO.1の地区で、しかも銀座という無茶苦茶な立地の学校なわけ。
そもそも収入的・家賃的に通わせたくても平均年収程度の稼ぎの保護者には通わせられない公立小学校の話です。(もちろん収入が厳しい世帯も中央区にはいらっしゃいます)
また一方で制服の価格自体は必須のものだけなら4万円と制服相場程度という話もあります。
総合すると、ここに通える保護者って既に選抜を乗り越えてきた保護者である可能性が非常に高く、通わせたくても通わせられない保護者の方が逆選抜されているというお話。
「制服以前に逆選抜される層」と「制服によって逆選抜される層」の二段階があるんだけど、なぜかフォーカスが当たるのは制服によって逆選抜される層だけなんですよね。
そういう部分を読む時に少しでも頭に過れば、校長の判断やアルマーニを決めたプロセスを批判するにしてもトーンは変わるんじゃないかなと思います。
誰が書いても疑ってみる
よくありがちなのは気に入った論者の意見なら常に正しいと思ってしまったり、逆に嫌いな人が言ったこと、主張したことなら全部オカシイと決めつけてしまうのもメディア・リテラシーがあるとは言えません。
例えば、1月4日に小池百合子都知事が「東京英語村TOKYO GLOBAL GATEWAY」について予算報道がされた件のことです。音喜多駿都議をはじめ、一部で話題になっていました。
新たなハコモノ「英語漬けで過ごせる場所」は東京都に必要か?作るなら「新・こどもの城」を目指せ | 東京都議会議員 おときた駿 公式サイト
私は教育業界にいるので、この件の是非はともかくこれで小池百合子都知事を叩くのはアンフェアだろうと思ってこの記事を書きました。
一方で音喜多駿都議も最近は叩かれることが多いような気もしますが、ブログ記事で評価できるものもあります。最近ならこれ。
「著名ブロガー」を招致した豊洲市場PR施策、その効果はいかほどに??全投稿を分析してみた | 東京都議会議員 おときた駿 公式サイト
これ読むと「あーなるほど……」と色々事情が深読みできますよね。
もちろん、情報の取捨選択をする時点からどうしてもバイアスってかかってしまいます。嫌いな人でも真っ当なことを言うことだってあるし。好きな人、尊敬できるとこちらが勝手に思っている人でも軽度のミスや過ちはある。
全てが自分と考えが同じになるわけじゃないということも肝に命じておいた方が良いです。好き嫌い問わず、まず耳を傾けて、そのうえで自分の目で見極める方が良いと思います。
(まあ、あんまり酷い場合や時間が勿体無い場合は嫌いな人の情報は最初から入れないというのはありだと思います)
陵坂としては、注目して追いかけている人が自分と同じ考えだと素直に嬉しいし、違う考えだと面白いなあと思います。違った場合は「どこが違うのか」「視点の置き方」「ロジック」について考えさせられるので刺激がもらえますよ。
ほな、さいなら。
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