陵坂と考察と

教育関係会社員が教育を中心に考えたこと、思ったことを書きます。

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教科書採択の結果を比べてみる

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どうも陵坂です。前回は教科書問題について取り上げました。今回も教科書採択のお話。実際に採択の結果ってどうなのか見てみようという記事です。

皆さん、頭では地域によって使われている教科書が違うことや、教科書会社にも上位シェアの会社と下位シェアの会社があるので、偏って分布しているんだろうなあ、くらいに思っていると思うんですが実施にはどういう風な感じなのか見たことありますか?

実は陵坂もそこまで見たことがなかったので今回は陵坂の感性で選んだ都道府県をピックアップして見ていきたいと思います。どういう傾向があるんでしょうかね。

結論だけ見たいかたは目次から飛んでくださいね。

採択のスケジュールについて

まず採択のスケジュールについて文科省の資料で確認しましょう。

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(引用)http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kyoukasho/kentei/__icsFiles/afieldfile/2016/03/18/1368501_02.pdf

つまり平成23年、平成27年から採択された教科書会社の教科書を児童・生徒は4年間使用するわけです。

ちなみにこのスケジュールって教科書会社しか関係ないじゃね? と思われるかもしれませんが教育業界のほとんどの会社が大なり小なり重視しています。

というのも教科書が変わるということはそれに関連して教材・指導法などを改訂・改善する必要が出てくるからです。そこにビジネスチャンスがあります。勿論、そんなことをわかった上で我が道を行くスタイルもあると思いますが…。 

どの都道府県でどんな教科書が使われているのか見てみよう

全ての都道府県を見ていくのは大変なので平成23年、平成27年の小学校教科書における採択結果を見ていきましょう。日本地図を上からテキトーに選択して見比べていきたいと思います。

興味のある方は自分で「〇〇県 教科書採択」で検索すると教育委員会や教科書取次業者が採択の一覧を表にして公開してくれています。

ちなみに採択地区は都道府県ごとに設定されています。例えば東京都は23区26市毎に採択されますが、愛知県の名古屋市は市内16区をまとめて1つの採択地区としています。一方で複数の市で一つの採択地区とする場合もあります。

詳しくはこちらをご覧ください。

採択地区一覧(平成29年4月現在):文部科学省

見る時のポイント

ズバリ見るポイントは主要教科です。小学校なら国語・算数・社会・理科。

それ以外の教科は発行している教科書会社の会社数が少なく選択肢がないからです。ある1社が多い理由が「2社しか発刊していないから」とかありますからね。そして、そういう部分に目を向けても地域ごとの傾向を見ることは難しいですよね。なので見るとしても参考程度に見ましょう。

北海道 

平成27年度小学校使用教科書

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(引用)http://www.dokyoi.pref.hokkaido.lg.jp/hk/gky/kyokasyo/saitaku27syo.pdf

平成23年度小学校使用教科書

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(引用)http://www.dokyoi.pref.hokkaido.lg.jp/hk/gky/kyokasyo/saitkau23syo.pdf

北海道の特徴として、まずわかることは国・社・算・理において「教育出版」の教科書が多く採用されていることです。また23年・27年を見比べてもあまり変化がないことがわかります。

宮城県

平成27年度小学校使用教科書 

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(引用)http://www.pref.miyagi.jp/uploaded/attachment/274653.pdf

平成23年度小学校使用教科書

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(引用)http://www.pref.miyagi.jp/uploaded/attachment/114139.pdf

宮城県のWEBページの資料が北海道と縦軸横軸が違うので少し違和感があります。こういう書式は自由なんですね。

さて、宮城県の国・社・算・理は全て「東京書籍」の教科書を使用しています。というかほとんど県全体で同じ教科書を使う傾向があるようです。地図・生活科もほとんど一社で統一。バラバラなのは図画工作、家庭くらいです。

宮城県も23年、27年でほとんど教科書は変わっていません。

東京都

平成27年度小学校使用教科書 

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(引用) 採択地区別公立小・中学校用教科書採択結果について|東京都教育委員会ホームページ

 平成23年度小学校使用教科書

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(引用)採択地区別公立小・中学校用教科書採択結果について:東京都教育委員会

東京都は地区が多いですねー。これでも全てではありません。23区26市がそれぞれ決めるので多いんですが、全部載せるのは止めておきました。

北海道・宮城県と違って県全体で特に強い教科書会社があるというわけでもないし、国・社・算・理を全て同一の教科書会社にするようなケースも東久留米市1市しかありません。(画像では載せきれていないので引用元のページでご確認ください)

神奈川県

平成27年度小学校使用教科書 

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(引用)http://www.pref.kanagawa.jp/uploaded/attachment/895707.pdf

平成23年度小学校使用教科書

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(引用)http://www.pref.kanagawa.jp/uploaded/attachment/366367.pdf

神奈川県の傾向として国語は「光村図書」、社会は「教育出版」という傾向が強いもののそれ以外の教科は比較的ばらけている傾向があります。理科は「大日本図書」「啓林館」がよく採用され、逆に「東京書籍」を使っている地区は平成27年度に1地区あるだけです。 

長野県

平成27年度小学校使用教科書 

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(引用)長野県教科書供給所

平成23年度小学校使用教科書の情報は、見つからず・・・

長野県は県全体で同じ教科書を使う傾向が非常に強いようです。国語は「光村図書」、社会は「東京書籍」、算数は「啓林館」、理科は「信濃教育会」となっています。

愛知県

平成27年度小学校使用教科書 

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(引用)http://www.pref.aichi.jp/uploaded/attachment/221428.pdf

平成23年度小学校使用教科書の情報は見つからず

愛知県では国語は「光村図書」と「東京書籍」強く、社会は「東京書籍」と「日本文教」、算数は「啓林館」のみ、理科では「大日本図書」と「東京書籍」が強いようです。 

大阪府

平成27年度小学校使用教科書 

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(引用)http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/5684/00000000/02H29estxt02.pdf

平成23年度小学校使用教科書

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(引用)http://www.chuoh-kyouiku.co.jp/pdf/corporation/support/h23/h23_osaka.pdf

大阪府は27年と23年で引用元が違うので書式も違います。ご容赦ください。

さて、まず27年・23年の大きな違いは大阪市の採択です。23年は市内で細かく分かれたいのが27年は1つにスリム化されています。また国・社・算・理を見てもらうとわかると思うのですが比較的国語で「光村図書」、理科で「啓林館」が強いのかなーくらいはありますが、全体的に教科・地区ともにバラバラの採択をしていることがわかります。

広島県

平成27年度小学校使用教科書 

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(引用)http://www.pref.hiroshima.lg.jp/uploaded/attachment/136805.pdf

平成23年度小学校使用教科書

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(引用)http://www.pref.hiroshima.lg.jp/uploaded/attachment/29349.pdf

広島県はどの教科も2社の教科書会社が強い傾向があるようです。国語は「東京書籍」と「光村図書」、社会は「東京書籍」と「日本文教」、算数・理科は「東京書籍」と「啓林館」という感じでしょうか。 

愛媛県 

平成27年度小学校使用教科書 

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(引用)http://www.gaku-bun.co.jp/adoption/29_ehime.pdf

平成23年度小学校使用教科書

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(引用)http://www.chuoh-kyouiku.co.jp/pdf/corporation/support/h23/h23_ehime.pdf

愛媛県は27年、23年で少し変更がありますが。国語は「光村図書」と「教育出版」、社会は「東京書籍」のみ、算数は「啓林館」のみ、理科はほとんど「学校図書」。

福岡県

平成27年度小学校使用教科書 

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(引用)http://www.pref.fukuoka.lg.jp/uploaded/life/175800_51211681_misc.pdf

平成23年度小学校使用教科書

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(引用)http://www.chuoh-kyouiku.co.jp/pdf/corporation/support/h23/h23_fukuoka.pdf

さて、最後の福岡県です。こちらもあんまり27年、23年で変わっていません。国語は「光村図書」と「東京書籍」の2強、社会は「東京書籍」「教育出版」、算数は「啓林館」と「日本文教」、理科はほとんど「大日本図書」という感じ。

採択表からわかる3つのパターン

さて、このように10都道府県の採択を見てもらいました。どうですか。初めて見た方はびっくりしたんじゃないでしょうか。改めて県単位で見ると傾向が見とれるのではないでしょうか。

県内で1社の教科書会社の教科書を使うパターン 

何度も書きますが教科書は地区毎の教育委員会が決定権を持っています。また地区毎の教育委員会が相談して決める、なんてこともありません。

そういう状況のもと県全体で「ある1社」の教科書会社になるって凄い確率です。しかも23年、27年と続いています。これは天文学的な確率と言えるでしょう。

これは「奇跡」です。調べても出てこないのでわかりませんが平成19年も同じだったら凄いよね。

もしかすると何か固有の特徴があって、どうしてもこの教科書会社じゃなきゃダメだと多くの方が支持する要素があるのかもしれません。 

教科毎に教科書会社が分かれているケース

何度も何度も書きますが教科書は地区毎の教育委員会が決めています。国語はA社、社会はB社、算数はC社、理科はD社…。そうやって各教育委員会で決めたものを総合するとあら不思議。国語はほとんどA社、社会はほとんどB社、算数はほとんどC社…というケースのことです。

教科書は検定を通っているのでどの会社も一定の水準を担保されています。もしかすると地域性(学力や環境)によって相応しい教科書というのがあって、同じ県では同じ教科書会社が採用されやすいということもあるのかもしれません。

でも、こちらも確率的にはなかなか奇跡的な数字と言えるのではないでしょうか。

バラバラのケース。

何度も何度も何度も書きますが(以下略)というわけなので普通こうなるよね、という感じがします。もちろん強い社、弱い社というのは生じてしまうのですが、こうなるのが普通な感じがします。 

教科書謝礼問題は採択に関係なかった

上の2ケースはなかなか奇跡的ですが、バラバラのケースが本当に普通なのかは留意すべきことだと思います。そこで思い出してもらいたいのは教科書謝礼問題のことです。

文部科学省は31日、対象となった公立小中学校の教員ら延べ4472人の中に、調査員(主に教員)ら教科書の採択(選定)にかかわる立場にあった990人が含まれていたと発表した。(中略)

各教委は採択への影響の有無も調べた。別の会社の教科書から、検定中に閲覧させた会社のものに変わったケースは99件あった。しかし、調査員らから聞き取ったり、会議の議事録などを精査したりした結果、謝礼を受けた会社の教科書だけを推すような不正は確認されなかったという。

(引用)教科書問題:採択にかかわる教員ら990人が検定中閲覧 - 毎日新聞

というわけで教科書採択には関係ないようです。

陵坂が考えるに採択への影響の有無って「変更」だけでしょうか?ってこと。「継続」の部分の吟味が報道されていないのがこれまた不思議です。とはいえ、陵坂は関係者でもジャーナリストでもないのでわかりません。

もちろん文科省が「シロ」と言っているのに、何の証拠もなく疑うのは不適切です。モリ・カケ問題と同じになってしまいますからね。

2019年にある新しい小学校教科書の採択では教科書問題と呼ばれる不正がなく、子どもたちにとってより良い教科書が選ばれることを祈っています。

こちらも参考にどうぞ 

www.ryosaka.com