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東京英語村で小池百合子都知事は批判されるべきなのか【TOKYO GLOBAL GATEWAY】


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どうも陵坂です。2018年の新年早々、小池百合子都知事のこのニュースが話題です。

(FNNニュース)「英語漬けで過ごせる場所」開設へ 東京都 

私は都民として小池百合子都知事を現時点で評価していませんが、この件については慎重に考えたいと思っています。

ご存知のない方もいるかもしれないので上記のWEBサイトから引用してみましょう。

東京都は、9月から江東区青海に、「使える英語力」を育成するための場所「TOKYO GLOBAL GATEWAY」を開設するため、6.8億円を新たに計上することを決めた。

小学生から高校生を対象とした「TOKYO GLOBAL GATEWAY」では、8人の子どもに対して、1人の英語を話せる担当者がつき、子どもたちが英語だけで過ごすことができる場所となる。

最初に書いておくと今回のこの記事は小池百合子都知事を擁護することが目的ではありません。小池都政、英語教育論、行政と民間についての様々な意見・考えがあって良いと思います。ただ色々な考えや視点がごちゃ混ぜで議論されることは避けたい。

もっとシンプルに言えば「その切り口で小池百合子都知事批判は正しいの?」ってことです。批判のための批判はしたくないってこと。 

そこで「TOKYO GLOBAL GATEWAY」(東京英語村)について「情報を整理」したいと思います。

長い(全体で5000文字くらい)ので要点だけ知りたい方は目次から<まとめ> 時系列の整理の部分だけ読んで下さいね。

(Photo by rawpixel on Unsplash

そもそも「TOKYO GLOBAL GATEWAY」(TGG)とは何?

「英語村」「英語漬け」という言葉が独り歩きしがちなような気がします。そもそもどういう意図で設立されたものなんでしょうか。公式WEBサイトを見てみると…

TGG設立の目的は、普段の学習効果を高めるために、英語を体験する場を設けることでした。(中略)プログラム監修者の松本茂教授によれば、英語を効率よく身に付けるには、PICサイクルに沿って学習することが大事。Pはpractice(個人学習)、Iはinteraction(対話型学習→学校の授業)、Cはcommunication(実践→TGG)の頭文字。これまで日本の英語学習にはCの部分が充分でなかったとおっしゃっています。部活動に例えるなら、普段の授業が練習に当たり、TGGは試合を担当します。

(引用)TGG設立の目的 | TOKYO GLOBAL GATEWAY(TGG)

「英語を身に付けても日本じゃ使う場面がないし」という保護者の方の「困っている」を解決すると同時に学校では移動教室などで活用して効率良く英語を身に着けようという事業なわけです。

 都内にお住まいなら4800円(1日コース)・2400円(半日コース)

 都外の方なら6800円(1日コース)・3500円(半日コース)

基本的には学校などの団体利用を想定していますが、一般利用も可能になっています。

小池百合子都知事が始めた事業じゃない

思い出してもらいたいのですが小池百合子都知事が誕生したのは平成28年(2016年)7月31日に行われた東京都知事選挙によってです。第19代の舛添要一都知事が平成28年6月21日をもって辞職しましたよね。

じゃあ、この「TOKYO GLOBAL GATEWAY」がいつ決まったのか。事業方針などが公表されたのは平成28年3月なんですよね。「TOKYO GLOBAL GATEWAY」の概要について東京都教育委員会の資料はこちらです。

<これまでの経緯と今後の予定>

平成28年 3月 「英語村(仮称)」事業実施方針及び募集要項を公表

平成28年 9月 最優秀事業応募者を選定

平成29年 3月 事業者及び施設名称の決定

平成29年 4月 施設整備開始

平成29年 9月 予約受付開始予定(都内学校団体から順次開始)

平成30年7月頃 プレオープン予定

平成30年 9月 開業予定 ⇒ 平成40年度末まで営業予定

(引用)TOKYO GLOBAL GATEWAY の概要について

この時点で事業実施方針を公表しているということは3月以前から内容を検討していたことになります。つまりこれは舛添都政時代の事業。じゃあ、構想はいつから始まったのか。 

いつ考え始めたのか

前段のように平成28年3月当時の都知事は舛添要一氏です。舛添要一都知事は平成26年(2014年)2月9日に行われた選挙で誕生し、平成28年6月21日に辞職しました。いつから「TOKYO GLOBAL GATEWAY」の構想は始まったのでしょうか。

本当の意味での「いつ・どこで・誰」の考えで始まったのかは内部の方しかわかりませんが、具体的に動き出した時期やメンバーについては東京都教育委員会より公表されています。

「英語村に関する有識者会議」は、こうした状況を踏まえ、東京版英語村の開設に向け、その望ましい在り方を検討することを目的として、平成27(2015)年4月、東京都教育委員会により設置されたものである。(注・太字は引用者)

(引用)東京版英語村開設について<報告>平成27(2015)年10月 英語村に関する有識者会議

こちらの資料の最終ページには有識者会議の委員の名前などが公表されています。

北爪 佐知子さん(学校法人近畿大学 理事(近畿大学英語村村長))をはじめ、KCJ GROUP株式会社「キッザニア東京」の方、ANAホールディングス株式会社の方など民間からも選ばれていますし、あの安河内 哲也さん(一般財団法人実用英語推進機構)が選ばれています。そして座長は、油井 直次さん(公益財団法人日本英語検定協会 会長)。メンバーを見ると出来るだけバランスよく人を集めようとしたんだろうなと感じます。 

誰が決めたのか

舛添要一都知事(当時)の強い意向があったのかどうか、どの程度の関与があったのか。また舛添要一都知事が「教育分野」について熱心かどうかとこの「英語村」事業がイコールで繋がるのかもわかりません。ただ「教育」において東京都教育委員会の意向があることは間違いないでしょう。

平成27年4月に有識者会議が設立されたということは平成26年度のメンバーによって検討しようという方針が決められたと考えられます。

当時(平成26 年4月1日現在)の東京都教育委員会のメンバーはこちら(敬称略)。 

委員長 木村 孟(文部科学省顧問)

委 員 竹花 豊(株式会社東京ビッグサイト代表取締役社長)

委 員 乙武 洋匡(作家)

委 員 山口 香(筑波大学体育系准教授)

委 員 遠藤 勝裕(独立行政法人日本学生支援機構理事長)

委 員 比留間 英人(教育長) 

(参考)Ⅳ 東京都教育委員会の組織(平成26年)

平成27年4月から教育長が中井敬三教育長に変わりましたが、そのほかの方はそのまま。(*中井教育長の任期は平成30年3月31日まで)

(参考)Ⅳ 東京都教育委員会の組織(平成27年)

というわけで、舛添要一元都知事と比留間英人元教育長の時に構想がスタートし、その中身をまとめていったのが中井敬三教育長だったのではないでしょうか。(どなたも実際は「立場上のみ」かもしれませんが…)

*今の教育委員会の構成はこちらから見ることができます。

教育委員会の制度・委員・しごと:東京都教育委員会

教育委員会についてはこちらをご参考ください 

www.ryosaka.com

ちなみに事業者は

こんな感じです。

【事業者】㈱TOKYO GLOBAL GATEWAY

<構成員>

㈱学研HD、㈱市進HD、㈱エデューレエルシーエー、

(一財)英語教育協議会、㈱博報堂

(引用)TOKYO GLOBAL GATEWAY の概要について

キッザニアなどの有識者会議で委員を務めた方の企業は入っていません。そりゃそうだよね。キッザニア東京では「英語プログラム」などをしているのでその知見の観点から有識者会議で協力されたんだと思います。

www.kidzania.jp

<まとめ> 時系列の整理

さて、ここまで読んでいただいてある程度情報の整理が出来たと思います。

・平成26年(2014年)2月9日の都知事選挙で舛添要一都知事が誕生。

・平成26年の東京都教育委員会の教育長は比留間英人氏。

・平成26年中に「英語村」の構想がスタートしたと想像できる。

・平成27年(2015年)4月に「英語村に関する有識者会議」を設置して検討を開始。

・平成27年4月に東京都教育委員会の教育長に中井敬三氏が就任(平成30年3月末まで)。

・平成28年(2016年)3月 「英語村(仮称)」事業実施方針及び募集要項を公表。

・平成28年7月31日の都知事選挙で小池百合子都知事が誕生。

・平成28年9月 最優秀事業応募者を選定。

・平成29年(2017年)3月 事業者及び施設名称の決定。

・平成30年(2018年)7月頃 プレオープン予定。

・平成30年9月 開業予定。 

意見・批判の観点を整理

冒頭に戻ってこの「「英語漬けで過ごせる場所」開設へ」というニュースに意見・批判する切り口は幾つかあると思います。ただ大きく分けると以下の2点になるのではないでしょうか。

1.施設の建設

2.英語教育の在り方

この2点は全く別の観点ですよね。

1の「施設の建設」について代表される意見・批判は「ハコモノ行政」「民業圧迫」だと思います。予算規模が6億8千万円と報道されています。東京都の資料でもこのように書かれています。

【都による財政支援】

・事業施設賃料の10分の10

・開業前の施設改修経費の2分の1 を補助金交付

(引用)TOKYO GLOBAL GATEWAY の概要について

2の「英語教育の在り方」について代表される意見・批判は「小学校からそもそも英語が必要なのか」「英語よりまず日本語教育の方が大事」みたいな感じでしょうか。

前提情報を踏まえた上で意見・批判の対象について自分の中でハッキリさせてから言及する方がベターだと思います。

「こんな施設を作って小池百合子都知事のアピールだ!」と言いたい気持ちはわからないでもないですが事業がスタートしたのは舛添要一都知事時代です。私は小池都知事の市場移転を止めたことに反対なんですが「じゃあ、これも止めれば良いの?」という話になります。

「TOKYO GLOBAL GATEWAY」について一般の方はこのニュースで初めて知った方も多いと思いますが、教育業界の人間なら誰でも知っている内容です。都議会議員の方もたぶんご存知の内容ではないでしょうか。教育委員会の議事案件ですし。

「英語教育」については文部科学省が2020年に教科化することを決め、現在小学校5年生から外国語活動を実施しています。各地で英語教育については色々な取り組みがされています。

例えば大阪府寝屋川市では「英語村(英語力向上プラン)事業」という取り組みがされています。名前は同じ「英語村」です。でも中身は違います。

「英語村」/寝屋川市ホームページ

resemom.jp

会場は、寝屋川市教育研修センター。市内の全24小学校の5年生全員を対象に、各校1回ずつ、午前9時半から午後2時半まで開催する

人口・学校数・規模が全て違うので比較するのには適切ではないのですが、やり方は色々あるという一例です。これら取り組みの是非、効果、費用は本来キッチリ検証すべきですがなかなかクリアになっていないことが課題です。

「TOKYO GLOBAL GATEWAY」について批判を含めて様々な意見が出るのは良いことだと思います。ただ繰り返しになりますが、今回の目的はあくまで「情報の整理」。

東京英語村で小池百合子都知事は批判されるべきなのか。

私も考えてみようと思います。

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