りょうさかさんと

教育業界にいる陵坂さんが教育・子育て・DWEなどについて書くブログ

りょうさかさんと

文部科学省がプログラミング教育をすすめる理由と課題


 

どうもりょうさかさんです。

さて、プログラミング教育が2020年から実施されます。

どうして今、プログラミング教育なのか、そもそも「プログラミング教育」って何をするのか解説していきたいと思います。

プログラミング教育ってコードを書くわけじゃない

文科省の「小学校段階におけるプログラミング教育の在り方について(議論の取りまとめ)」という資料を見てみましょう。

これによると「プログラミング教育」とは

子供たちに、コンピュータに意図した処理を行うように指示することができるということを体験させながら、将来どのような職業に就くとしても、時代を超えて普遍的に求められる力としての「プログラミング的思考」などを育成するもの

としています。じゃあ「プログラミング的思考」ってなんなのか。

自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組合せが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組合せをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力

うーん、ちょっと何言っているのかわからないっすって感じですよね。

しかも「プログラミング教育を行う単元について、各学校が適切に位置付け、実施していくことが求められる」とあり、完全に学校現場に丸投げなことこの上なしって感じです。

ただこのプログラミング教育はいわゆるコードを書くわけではありあません。

コードや言語を勉強するように思われる方もいるかもしれませんが、あくまで「プログラミング的思考」を学ぶのです。 

具体的なプログラミング的思考

プログラミング的思考について具体的に紹介します。

文科省の説明だけ読むとピンときませんが、具体的な思考の流れを聞くと別に難しくない話だとわかってもらえると思います。

「玄関の照明のセンサー」を例に挙げてみましょう。

家に帰ってくると自動的に感知してライトがつくアレです。

温度、ライトスイッチオン、ウェイト60秒、ライトオフと条件付けしたフローチャートを作って、温度が20度以上ならスイッチオン、そのまま60秒持続してライトオフ、20度以下ならライトオフのまま。

ちなみにこれについて実際に授業を行った中学校の先生がいらっしゃいます。

中学校なのでもう少し進んだことをしていますが、小学校だとこの思考の流れまでってことです。

(参考)「工夫し創造する能力」を育成する中学校技術分野の学習指導の在り方~制御とプログラムの学習指導を通して~

こういう風に条件に応じて次の選択肢に進んだり、その前に戻るような組み合わせを論理的に考えることが「プログラミング的思考」なんですね。

プログラミング的思考について不安な保護者の方もいると思いますが、学校の授業の為だけなら別にどこか外部でわざわざ勉強させる必要はないと思います。

ただ今から、そういう経験が大事だ、そういう技能を活かした道も進めるように素地を養いたいという方は是非外部に行くことをおススメします。

需要は間違いなく上がりますよ! 

プログラミング教育をする理由は人口減少

文科省はプログラミング教育をする理由としてこちらでは「コンピュータとプログラミングの働きを知ることは時代の要請(意訳)」となんかもっともらしいことを書いていますが私は違うと思っています。

私は、将来ITを担う人材が不足すると予測されているからだと考えます。

「未来の年表」(河合雅司)によると

2019年 IT(情報技術)を担う人材がピークを迎え、人手不足が顕在化し始める。(中略)

2030年 ITを担う人材が最大で79万人不足し、社会基盤に混乱が生じる。

と紹介されています。

IT技術者が減るとどうなるのか。社会インフラの整備が出来ないということです。

そして、人口減少の働き手不足をAIで補うという考えも、そもそもAIを開発する人材が手薄になることはとてもマイナス要素ですよね。

詳しくは本書と経済産業省の「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果 ~ 報告書概要版 ~」をご覧ください。

2030年と言えば今から13年後。

2020年から学んだ子ども達が社会に出ている年齢にはなっていませんが今からやらないと間に合わないというのも理解できると思います。

つまり、学校教育で触れさせることによってAI人材に向かわせる呼び水にしたいというのが本音のはずです。

コラ! そこっ、経産省の圧力に負けたとか言わない(笑) 

課題は教員に丸投げ

上で紹介したようにどこで取り組むかは各学校に任せるとのこと。

予算のある地域やプログラミングに力を入れている会社が学校周辺にあれば連携した授業も出来るでしょう。

実際にドローンを飛ばす授業をしているところもあります。

学校全体として取り組み成果を出されているところもありますが、全ての学校が出来るわけではありませんよね。

ただプログラミングは教えることが出来なくても、「プログラミング的思考」であれば先生方も出来そうなのもご理解いただけると思います。

学校間の差が凄く開きそうですが、保護者としてはまず「プログラミング」がそもそもコードを教えるわけじゃないということを押さえておくことが大事かもしれません。

それでは、また