りょうさかさんと

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【解説】教科書採択について


 

文科省や教育について語ると自然と「教科書」について触れることが多くなります。「教科書」については当たり前のようにあなたも使ってきたと思います。あなたが使った教科書はわかりやすかったでしょうか。教科書は面白かったでしょうか。

そもそも教科書は地域によって採択されている教科書会社が違うというのも知らなかったりする方もいるんじゃないでしょうか。

例えば東京都なら23区26市は全て各々の区市で決めた教科書を使っているんですよ。

(参考)採択地区別公立小・中学校用教科書採択結果について:東京都教育委員会

今回はそんな当たり前のように使う「教科書」についての決め方について解説したいと思います。 

そもそも教科書とは

「教科書」は小学校・中学校・高校で使われています。教科書は「教科書検定制度」によって文部科学大臣の検定を経て一定の水準を保っています。

学習指導要領も教科書には当然大きな影響を及ぼしています。こうやって一定の範囲と水準の中で教材や題材の扱いは各教科書会社が創意工夫をして差別化を図っているわけです。

(参考)教科書検定制度について:文部科学省

国語や英語なら題材が変わりますし、細かいところで言えば英語はbe動詞から始まるか、一般動詞から始まるかで分かれます。結構細かいところに気を使っているでしょ。

他にも教科書内容の差別化としてイメージしやすいのは、いわゆる「歴史教科書問題」と表現される「歴史の記述の仕方」という部分だと思います。

区市町村によって場所や扱いが違いますが、教科書は一般の方も見ることが出来るようになっています。図書館や教育センターのような場所で展示することが多いようです。興味のある方は調べてみてくださいね。

どうやって決めるのか

教科書の採択方法については無償措置法によって定められています。文科省にわかりやすくまとめられているので引用させていただきます。

採択の権限は、既に述べたように教育委員会や校長にありますが、適切な採択を確保するため、都道府県教育委員会は、採択の対象となる教科書について調査・研究し、採択権者に指導・助言・援助することになっています。6.教科書採択の方法:文部科学省

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http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kyoukasho/gaiyou/04060901/1235091.htm

この図の調査員というのは、多くの場合その地区の学校の教員から複数名選ばれます。つまり実際に教科書を使う先生たちが調べるわけ。そこで教科書を見比べて、どの会社のものが地区にあっているか調査して、選定委員会に報告するんです。

選定委員会は校長先生たちで主に構成されていて、先生方の報告をまとめて教育委員会に答申。教育委員会において、最終的には教育長、教育委員の方々が決めるわけです。

教育委員会については以前の記事で書きましたよね。www.ryosaka.com

教育委員会の教育長、教育委員は「教育」のプロではないケースが多いので、この先生方、校長先生方の報告はとても参考になるわけです。8月31日までに採択を行い、ここで決まった教科書は指導要領の変更などがない限り通常4年間使用されます。 

教科書問題について

さて、2016年に発覚した「教科書問題」と呼ばれる事件がありました。この事件はシンプルに言えば「教科書会社が部外者には閲覧禁止の検定中の教科書を見せて謝礼を支払った。しかもお金をもらった人が教科書採択に関わってたよ」というお話しです。

mainichi.jp

教科書が無償ってことは税金だからね。

この教科書問題についてこちら 

www.ryosaka.com