陵坂と考察と

教育関係会社員が教育を中心に考えたこと、思ったことを書きます。

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【学テ】学力に教員・教材はどれだけ影響するの?

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陵坂です。全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果が報道されて少し経ちましたね。

全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)とは

ご存知だと思いますが改めて、Wikipediaで意味を確認しておきましょう。

2007年より日本全国の小中学校の最高学年(小学6年生、中学3年生)全員を対象として行われているテストのことである。実施日は毎年4月の第3もしくは第4火曜日としている。一般に「全国学力テスト」とも呼ばれるが、学力・学習状況の調査的性格のあるテストである。

対象は公立学校。基本的には国語、算数・数学について行われます。形式はA問題(知識・理解)、B問題(活用力・思考力)の二つのタイプの問題が出題されます。

都道府県別では「秋田・石川・福井・富山」の順位が高く、今年2017年に政令指定都市の成績が公表されました。 

各教科の平均正答率のトップの都道府県・正答率

<小学校>  国語A 秋田80%  国語B 秋田・石川64%

       算数A 石川85%  算数B 石川53%

<中学校>  国語A 秋田・石川・福井82% 国語B 秋田78%

       数学A 福井73%  数学B 福井54%

(下記WEBページを参考に致しました。)

学テ:下位県、全国との差縮小 政令市で正答率高い傾向 - 毎日新聞

2017年度全国学力テスト - 毎日新聞

学力に何が影響するのか

さて、この学力テストについての分析には賛否以外にも色々な立場の方が色々な意見を仰っています。例えば陵坂が購読している産経新聞では「新聞を毎日、読む子の方が成績が良かったって聞いたよ!」とこのニュースに関連して「新聞ってやっぱり大事だよね」というメッセージを込めています。

教科書・教材会社の方は「当社の教科書or教材を使っているからA地区はB地区よりも成績が高い」とこの結果を材料にして宣伝するという話を聞いたことがあります。

国立教育政策研究所で見ることが出来る「平成29年度 全国学力・学習状況調査 報告書 【質問紙調査】」という資料では児童・生徒の家庭環境・学習環境について調査を行い、学力との相関関係について言及しています。例えば以下のような形です。

〔児童生徒質問紙と学力のクロス分析〕

【小学校】【中学校】

○ 以下と回答している児童生徒の方が,教科の平均正答率が高い傾向が見られる。

・友達の前で自分の考えや意見を発表することが得意である(7)

・友達と話し合うとき,友達の話や意見を最後まで聞くことができる(8)

・友達と話し合うとき,友達の考えを受け止めて,自分の考えを持つことができる(9)

・授業で学んだことを,ほかの学習や普段の生活に生かしている(11) 

平成29年度 全国学力・学習状況調査 報告書 質問紙調査:国立教育政策研究所 National Institute for Educational Policy Research

さて、ここで幾つかの疑問が生じます。

  • 「全国学力テスト」と教員・教科書は関係があるのか。
  • 「全国学力テスト」の正答率が高い児童生徒に共通した特徴に意味があるのか。

1.「全国学力テスト」と教員・教科書は関係があるのか。

まず1についてですが…「「学力」の経済学」(中室牧子)「学力テスト」に一喜一憂してはいけないにという節によると

学力の分析に用いるもっとも標準的な分析枠組みが、「教育生産関数」です。(中略)標準的な学力の分析においては、家庭の資源(引用者注・親の年収や学歴、家族)が学力に与えている影響を取り除いたうえで、学校の資源(引用者注・教員の数や質、課外活動や宿題など)が、それぞれどの程度子どもの学力に影響を与えているかを明らかにしようとします。(中略)北條准教授が日本のデータを用いて教育生産関数を推計したところ、家庭の資源が学力に大きな影響を与える一方で、学校の資源はほとんど統計的に有意な影響を与えなかったことも明らかになっています。

「学力」の経済学

「学力」の経済学

 

ある意味で関係者の方には残念な結果なんですが、教員の質も教科書・教材の質も思った以上に学力に影響を与えていないわけです。関係するのは「家庭の資源」「遺伝」という身も蓋もない結果になっています。(遺伝についても「「学力」の経済学」では述べられています)

しかも良く考えてみればこの学テのランキングは公立の小中学校なわけで有力私立に行く子どもが多い地域ほど不利になりやすいんですね。

ただ有意に差があったのが「学習時間」と後半の文章で出てきます。そのことを考慮すると教員の先生方が補習などで付き添った時間は無駄ではなく、上位層にも下位層にも効果があったと考えて良いと思います。 

一方、教科書・教材会社の方は少し残念かもしれませんね。あくまで「学テ」においてですが、そこまで影響がなかったというわけです。

むしろ私はこの教科書・教材を児童・生徒が生かし切れていない可能性はあると思います。

www.ryosaka.com

この記事でも書きましたが、中学生でもどれだけの生徒が教科書をしっかり読んで理解できているのか怪しいわけです。教科書を理解できていなければ、どれだけ問題集で練習してもしっかりと理解した定着は望めないわけです。小学生なら尚更ですよね。小学校英語の前にまず母国語の日本語をしっかり学びましょう、という意見には一定の説得力があると私は思います。 

2.「全国学力テスト」の正答率が高い児童生徒に共通した特徴に意味があるのか。

これについては一つ一つ検証してみるしかないというのが身も蓋もない結論になります。

新聞を読んだり、早寝早起きをしたり、スマホを触る時間が少ないといった傾向があったとしてもそれぞれが学力に関係があったのか調べてみないことにはわかりません。もしかすると上記3つは全て「親が関わった結果」なのかもしれません。そして、そういう親の傾向として高学歴・高収入という要素が見つかれば、上で書いた「家庭の資源」が理由になるかもしれないからです。

学力との因果関係がはっきりすれば根拠を持って活動することが出来ますが、現在は相関関係があることだけが紹介されている状況なのであまり気にしすぎるのも良くないかもしれませんね。 

まとめ

・全国学力テストに結果に関係があるのは「家庭の資源」。

・教員の数・質、教材はそこまで大きな要素ではない。

・正答率が高い傾向の児童生徒に共通した特徴はあくまで「参考」程度。