りょうさかさんと

教育業界にいる陵坂さんが教育・子育て・DWEなどについて書くブログ

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不登校問題から考える「学校に行く理由」


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どうも、りょうさかさんです。

わたしが今住んでいる地域の中学校の一つは全校生徒の1割近い生徒が「不登校」だと聞いたことがあり、とても驚いた記憶があります。

不登校の人数

「いじめ」「自殺」といったものに対して教育委員会の対応が問われる事案は引き続き出続けています。

きっと報道されていないだけだったり、公にならなかっただけだったりするケースも非常に多いのだと思います。

全国の小中高校で、年間30日以上欠席した不登校の児童・生徒は前年度比4.2%(7423人)増の18万2977人。

学校側の視点で見ると「いじめ」はあくまで認知した件数だけになりますが、「不登校」は事実として学校に来ていないわけで学校側としては確実に認知することが出来ます。

これは保護者にとっても同様ですよね。

自分の子どもが「いじめ」にあっているかどうか気付くことは難しいと思いますが、「不登校」に関しては認知しやすいでしょう。 

どうして学校に行くのか

不登校の理由について「不登校に関する実態調査」 ~平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書~(概要版)平成26年7月9日では

不登校の継続理由から「無気力型」「遊び・非行型」「人間関係型」「複合型」「その他型」の5つに類型化することができる。

としています。

5つの類型がありますが不登校をしている個人はそれぞれの個別の事情や理由があるのでしょう。

わたしが不登校をしている児童・生徒、その保護者の方に言いたいことは「無理に学校に行かなくて良い」ということです。

そもそもなぜ学校に行かなければならないのでしょうか?

あなたなら子どもに聞かれた時にどう答えますか?

法律的に言えば学校教育基本法の第二章義務教育による第十六条から「九年の普通教育を受けさせる義務を負う」という部分がその理由に当たるのでしょう。

つまり保護者に義務があるという理由ですね。

しかし、もし明らかに深刻な理由だった場合、「その義務」の為に子どもを傷つける可能性があるのであれば私は自信をもって一旦学校と距離を置いて良いと思います。

(些細な理由(これも親には判断しにくいですよね)で子どもが「学校に行きたくない」と言った場合ももちろん悩まれると思いますが……)

学校へ行く理由・目的

じゃあ、「義務」以外の「学校へ行く理由・目的」ってなんでしょうか。

多くの方が思いつきそうな理由・目的としては「学習する場所」「社会性・協調性を身に付ける」「人間関係を身につけて欲しい」「忍耐力を身に付けるため」「学歴社会だから生きていけないぞ」「将来困るから、後悔するから」「友達と遊ぶため」あたりが主要な理由・目的でしょうか。

どれも学校へ行く理由・目的としてはおかしくありません。

とても真っ当な答えです。

学校教育基本法に戻って「目標」を見てみましょう。(目的と目標は厳密には違いますが、この場合はほとんど同様に捉えて良いと思います)

同法第二十一条にはこう定められています。

一 学校内外における社会的活動を促進し、自主、自律及び協同の精神、規範意識、公正な判断力並びに公共の精神に基づき主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと。

二 学校内外における自然体験活動を促進し、生命及び自然を尊重する精神並びに環境の保全に寄与する態度を養うこと。

三 我が国と郷土の現状と歴史について、正しい理解に導き、伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する態度を養うとともに、進んで外国の文化の理解を通じて、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。

四 家族と家庭の役割、生活に必要な衣、食、住、情報、産業その他の事項について基礎的な理解と技能を養うこと。

五 読書に親しませ、生活に必要な国語を正しく理解し、使用する基礎的な能力を養うこと。

六 生活に必要な数量的な関係を正しく理解し、処理する基礎的な能力を養うこと。

七 生活にかかわる自然現象について、観察及び実験を通じて、科学的に理解し、処理する基礎的な能力を養うこと。

八 健康、安全で幸福な生活のために必要な習慣を養うとともに、運動を通じて体力を養い、心身の調和的発達を図ること。

九 生活を明るく豊かにする音楽、美術、文芸その他の芸術について基礎的な理解と技能を養うこと。

十 職業についての基礎的な知識と技能、勤労を重んずる態度及び個性に応じて将来の進路を選択する能力を養うこと。

(引用http://www.houko.com/00/01/S22/026.HTM

堅苦しい言葉で書いてありますが、多くの方が思いつきそうなこととほとんど同じような趣旨のことが書かれています。

学校に行かなくても身に付くもの

でも、ここで思考を止めずに一歩進むと「これらは学校以外でも経験・身に付けることが可能なもの」だとわかると思います。

全て一通り学習する意味では学校教育は一定の効率はあると思いますが、マストではありません。 

「学力」について今やYouTubeで塾などの授業の無料動画を公開されています。

書店で市販されている問題集にも無料で動画授業がついているものもあります。 

こちらは学研さんの中学校向け問題集。

中1英語をひとつひとつわかりやすく。(CD付き)

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有料でも良いのであれば塾関係も教材関係ではもっと数多く出てくる時代になりました。

高校生向けであれば月1000円以下で有名講師の授業を受けることができるリクルートさんの「スタディサプリ」もあります。

こちらは社会人の学び直しにも活用されています。詳細は下記リンクをどうぞ。

 またリーディングスキルさえ身に付いていれば自宅で自主学習することも可能です。

「社会性・協調性・人間関係」も学校以外で身に付けることは出来るのは御承知の通り。

忍耐力だってそうだし、学歴なら「高卒認定試験(旧 大検)」を受ければいいでしょうし、社会の価値観の変化、近い将来ある大学の倒産によって、これから先の日本で学歴社会が成り立つかどうかは怪しいと思います。

 「将来困るから」って学校行ったのに困っている人もいっぱいいるわ! 困る「質・理由」は変わるかもしれませんが、逆に言えば困らないかもしれません。

「友達と遊ぶ」ことも別に学校じゃなくたってできるよね。

こう考えると学校でなければ身に付けられないものってほとんどないのでないでしょうか。

誤解がないように書くと陵坂のスタンスとして学校は非常に重要だと考えています。

但し、そのために必要以上に子どもが傷つくことはないと考えています。

不登校経験者のその後

最後にもう一度「不登校に関する実態調査」 ~平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書~(概要版)平成26年7月9日から「進路」について引用します。

3.調査結果の分析

○ 進路の状況を見ると、

  • 前回の調査と比較して、不登校経験者の高校進学率が大幅に増加(85.1%←65.3%)するとともに、高校中退率も大幅に下がっており(14.0%←37.9%)、不登校経験に関わらず、勉強が続けられるようになっている状況を見ることができる。
  • さらに、大学・短大・高専への就学している割合も大幅に向上(22.8%←8.5%)している一方、就学も就業もしていない割合は減少(18.1%←22.8%)している。

○ また、インタビュー調査では、不登校によって勉強、友人、進路等でのマイナスがあったという意見の一方で、「休んだことで今の自分がある」「成長した・視野が広がった」「出会いがあった」「人とは違う経験をした」「人に優しくなった」など、不登校の経験を振り返りながら前向きに進んでいる様子も伺えた。

http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1349956.htm

不登校経験者の高校進学率は改善されていますし、休んだことで成長したという前向きな意見もあります。

少しでもポジティブな意見があるのは、今悩んでいる人にとって少しでも心強いものになるのではないでしょうか。 

人生は一度きりしかありません。

10歳前後の時点でそれから先の人生が決まってしまうなんてことはありません。

もし辛い時にはゆっくり立ち止まって、考えてみてほしいと思います。