りょうさかさんと

教育業界にいる陵坂さんが教育・子育て・DWEなどについて書くブログ

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教育委員会とはなんぞや2【教育長は役所のナンバー2・教育委員は地元の名士】


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どうも陵坂です。少し前の記事に続いて「教育委員会」についてです。教育委員会に触れようと思ったきっかけは「いじめ」「自殺」「不登校」問題の記事を見たからです。その話題をする際に「教育委員会」について押さえておかないといけないと思い、簡単にまとめておいたのが前の記事です。

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あえて二つの記事に分けたのは、利便性を考えたため。前の記事は「法令」などを元にしたファクトベース、今回の内容は「憶測を含んだ考察」になります。調べもので見た方は前の記事を中心に参考にしてくださいね。

では早速ですが、いじめ問題をはじめ何か学校関係で問題が起こった時にどうして教育委員会の判断と世間の判断に乖離が生じるのでしょうか。 

どうして世間とずれるのか?

教育委員会とは行政組織とはいえ、行政外部の人を任命して構成されています。裁判で言えば陪審員のように一般市民の感覚を取り入れて、世間に近い判断をしてくれそうなものです。私はこの教育委員会の構成が機能していないと考えています。

教育長とは

まず「教育長」ですが、このポストって役所の部長クラスの方が任命されているケースが多いですよね。(例外はもちろんあります。)また「副市長・副区長」も役所の部長クラスの方が任命されていますよね。

「市長・区長(東京都の特別区の場合)」は選挙で選ばれますが、「副市長・副区長」「教育長」は「市長・区長」の指名の元、議会の承認を経て選ばれます。

ってことは、「市長・区長」がナンバー1なら「副市長・副区長」「教育長」は共に「公務員がその役所でなれる実質ナンバー2・3の役職」(どちらが上かわかりません)の役職なわけです。だから、教育長ってめっちゃ偉い。マジ偉い。

でも「教育の専門家」とは限らない。そして、役所の立場の代表みたいな人なんですね。

教育委員とは

「教育委員」は前の記事で見ていただいた通り地域の名士と呼ばれる方になる傾向が非常に強いです。地域の名士の方はあくまである分野の専門家ではあっても「教育の専門家」ではありません。(必ず入ることになっているPTA枠の1人もほとんど場合、教育の専門家ではないです)

この専門家ではない方が選ばれる主旨は一定理解できるものですよね。「教育界の外の枠」という第三者的視点で一般感覚とズレがないか見守る役割も持っているはずです。でも、問題はそれが機能していない。

どうして地域の名士が選ばれる?

そもそもなぜ「地域の名士」が教育委員に選ばれるのでしょうか?

私の想像では、おそらく「村社会的な名残」で残っているのではないかと考えています。「村社会的」という部分で私が想像するのは以下の2点です。

1点目は、地域の揉め事を内内で解決していた名士の方に「教育関係も見てもらえませんか」と白羽の矢が当たったであろうということ。つまり「地域の名士」=「地域の相談役」だったのではないかということです。

地域との連携

学校教育はPTAをはじめ、地域との繋がりを非常に大事にしています。子どもの教育を考えた時に地域の協力は不可欠ですし、一つの学校を学校内だけでなく、地域と連携して運営していくのは今、重要視されている部分です。

例えば、地域の祭りに学校の校長先生が顔を出したりしていますよね。またそういう部分以外でも文科省の初等中等教育分科会による「チーム学校」という運営の形態の中にも「多様な経験等を有する地域人材等が担うべき業務」と位置付けられています。

(参考)文科省初等中等教育分科会「チーム学校関連資料」 

2点目は「地域の名士」が教育委員に選ばれるのは政治的な意味合いがあることです。「地域の名士」は選挙で選ばれる「市長・区長」にとって「票田」として押さえておきたい要素のはずです。

(実際に「票田」としている機能しているのか。今もそういったことが有効なのかはわかりません)

この「村社会的な要素」は表現を変えれば「地域と密着」であり、昔から今に続く重要な観点ですよね。繰り返しになりますが、それ自体は悪いことではありません。しかし、教育委員のそういった「地域の名士」=「地域の相談役」「票田」だった時代は終わり、ただの名誉職として今も形が残っているとは考えられないでしょうか。

役所組織の力学に飲み込まれる

「教育長」「教育委員」が共に教育の専門家ではなくても、平時には役所のバックアップもありますし、大きな問題はないのでしょう。

しかし、「いじめ」「自殺」「不登校」といった問題が起きた時に世間とずれた対応をするのは「専門家ではないがゆえに役所組織の力学(自己防衛)に飲み込まれている」という部分がほとんどなのだと思います。

そして、これって結局、形骸化していることを示しているわけで仮に教育委員に「教育の専門家」が入っても解決しないんじゃないかと思うわけです。たぶん本当に問題が起きた時は「第三者機関」でもない限り解決できないような…。

一般市民としてできることは「教育長・教育委員」の「任命責任」は誰かという点です。もし「教育委員会」で何かおかしな判断が行われたと感じた時は「市長・区長」に直接的・間接的に働きかける方法を考えてみると良いかもしれません。