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教育業界にいる陵坂さんが教育・子育て・DWEなどについて書くブログ

【論文・課題研究】要注意!論文を書く時の「マジックワード」と「形容詞」


陵坂です。文章を書く技術はなかなか上達しないですよね。自由研究、課題研究、論文などの重要性は日に日に増しています。過去の記事でもそういうことに触れました。

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そういった文章を書く際にぜひ気を付けて欲しいのが「マジックワード」です。名前の通り魔法使いのごとく便利な言葉としてマジックワードと呼ばれています。

マジックワードとは

マジックワードの説明についてはこちらをご参照ください。

1.自分の主張を通すときや、相手を貶める時に使われる、どのようにも取れる言葉。

マジックワード - Wikipedia

シンプルに言えば「なんとなくわかるけど、よく考えたら何を言っているかわからない言葉」ってことです。

なんとも日本語らしい言い回しで、わかりにくいですよね。マジックワードの具体例については後半でまとめて列挙しますが、大事なことは本質を理解することです。

列挙した言葉を覚えても何の意味もありません。そこで、具体例を紹介しながら概念を抑えていきましょう。わかりやすいところからいきますね。 

<具体例>

例えば「外国」です。

えっ? 「外国」って外国だろ? と思いましたか? これもマジックワードになる単語です。

私、陵坂とあなたが想像した「外国」って本当に同じ国でしょうか? これって何気ない言葉ですが、深い言葉ですよね。Wikipediaでも予想以上に詳しく説明されています。外国 - Wikipedia

似たような例でいえば「国際社会」もマジックワードになります。国際社会 - Wikipedia

よくニュースキャスターが「これで国際社会の理解が得られるのでしょうか」みたいなことを言いますが国際社会にどこの国が含まれているのかハッキリしません。アメリカなのか、EUなのか、中国・韓国なのか。これもマジックワードの一つです。 

ここでマジックワードを組み合わせた例文を示してみましょう。

「国際社会における発言力は出資金の多さに比例する」

なんとなくそれらしい文章ですが、全く意味がわかりませんよね。国際社会ってどことどこの国? 発言力って? 出資金ってなんのこと? 多さってどれくらい? 比例ってどの程度? とツッコミどころ満載です。

つまり何を示しているのかハッキリさせずに自分に都合よく使った「言葉」が「マジックワード」になるということなんです

またそれ自体はマジックワードではありませんが、使い方に気を付ける必要がある言葉についても併せて紹介しておきます。 

要注意 形容詞の使い方

形容詞には「多い・少ない」「高い・低い」など様々な言葉がありますよね。形容詞を使う時に具体的な数値が伴っていれば論文として問題ありません。

「AグループはBグループよりも売上金額が500万円多かった」

これは何の問題もありません。具体的な数値があるので、誰が読んでも同じ内容を理解できます。

しかし「日本の犯罪率は低い」みたいな文章だったらどうでしょうか。

「犯罪率は低い」とは、何%から指すのかわかりませんよね。こういう使い方を論文では使うのは好ましくありません。形容詞の使い方にもぜひ気を付けてください。

<実践編>

最後の例として文科省の文章を見てみましょう。

現行学習指導要領の基本的な考え方:文部科学省

「生きる力」=知・徳・体のバランスのとれた力

変化の激しいこれからの社会を生きるために、確かな学力、豊かな心、健やかな体の知・徳・体をバランスよく育てることが大切です。 

「知・徳・体のバランスのとれた力」って何でしょう? どういう状態のことを「バランスのとれた」と言うんでしょうか。

そもそも勉強は苦手でも、徳と体が飛びぬけた児童・生徒は駄目なんでしょうか? 「確かな学力」ってどういうものなのかな? テストで測れるものなんでしょうか? 「豊かな心」ってどうやって判断するのでしょうか? 「健やかな身体」って風邪を一度も引かなきゃいいの? 

この文章は、マジックワードてんこ盛りの文章です。一般の保護者の方であれば「ふーん」と思いつつそこまで違和感を覚えないでしょう。しかし、これを実際に取り組む教員である先生方の立場になると受け取り方が変わりますよね。

これがマジックワードの問題点なんです。

どうしたらいいのかわからないんです。

そして、そういう言葉を論文で使用するとどうなるでしょうか。何を言っているのか、どうしたら良いのか、それらが具体的に伝わってこないことになります。

日常会話、スローガン、標語などでは「マジックワード」のような定義が曖昧な言葉の方がコミュニケーションが円滑になったり相応しい場面もあると思いますし、それが日本語の便利な部分だと思います。

繰り返しになりますがマジックワードは「自由研究」「課題研究」「論文」で使う場合に好ましくない言葉なんですね。著者と読者の認識が共通である可能性が低い言葉で、論を繋いでしまえば、その先の結論の説得力は失われてしまいます。

そうならない為には書こうとする分野の深い理解と具体的、客観的な言葉を使おうとする姿勢が大事になります。具体的・客観的な文言を用いればそれに応じて論文自体の質も上がりますから、マジックワードにはぜひ気を付けてください。 

マジックワード・注意したい形容詞の具体例

誤解がないように書きますが、言葉それ自体が悪いわけではありません。論文で書く際にはもっと具体的・客観的な言葉で言い換えて下さいね。 

「平和・希望・夢・安全・危険・安心・心配・幸せ・不幸・外国・この世の中・国際社会・グローバル社会・普通・一般・異常」など

「多い・少ない・軽い・重い・強い・弱い・高い・低い・珍しい・貧しい」など

最後に

新聞やニュースでマジックワードが出てきたら「自由研究」「課題研究」「論文」「ブログ」のネタだと思って検証してみましょう。例えば…

www.nikkei.com

安全、安心とは何を意味するのか。それを高めるとはどういうことか。ぜひ検証してみてください。