陵坂と考察と

教育関係会社員が教育を中心に考えたこと、思ったことを書きます。

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「社会人の教育」の必要性。若者に抜かされまくる未来が来る

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「全力で容疑者を追いかけるスーツ姿の刑事全力で容疑者を追いかけるスーツ姿の刑事」[モデル:ゆうせい 大川竜弥]のフリー写真素材を拡大

陵坂の家では、悩んだ末に産経新聞を購入しています。子どもの教育のために買い始めた、というのはウソで漫画「ひなちゃんの日常」を読むためです。

さて、2017年10月22日の産経新聞の一面のコラム「世界裏舞台」において佐藤優氏(作家・元外務省)が「議論されない教育大改革」というタイトルで執筆されています。

www.sankei.com

とても重要な幾つかの視点について触れているので紹介したいと思います。

4つの視点

私なりに4点の視点があると感じたので列挙すると……

  1. 大学入試が変わらなければ大きな変化がない
  2. 思考力、表現力の重要性
  3. 知識の偏り
  4. 社会人への教育

1・2についてはこれまでの記事でも触れてきたことですよね。 

www.ryosaka.com

知識の偏り

3については大学入試の選択科目の影響で、文系・経済学部なのに数学が出来ない、理系は歴史、国語力不足が本文でも指摘されています。これらについてはこれまでも指摘されてきたことなので、他の文脈でも見たことがある方も多いと思います。

社会人への教育

 私が新鮮だったのが4点目の「社会人への教育」です。この言葉だけだとそんなに新鮮に感じないかもしれませんので、抜粋しながら引用するとこんな感じでしょうか。

20年の学習指導要領改定による新しい教育も、最初の10年くらいはさまざまな欠陥が見つかり、試行錯誤を繰り返すであろう。(中略)20年後には、新しいスペックを備えた人材が社会に輩出されてくる。その結果、旧世代の教育を受けた者は競争に敗れる。(中略)20年後を視野に入れた対策を立てておく必要がある。このような社会人に対する教育についても政府は真剣に考えるべきだ。

つまり「これからの世代に負けるから今の世代の教育をどーすんの?」ってことです。(乱暴)こういうことを踏まえると「高等教育(大学)の無償化」「社会人の学びなおし」について一部の政治家が言う理由の背景が見えてきますよね。そういうのを抜きに私は定年延長などを議論するのは難しいのかなと思うんです。 

自分自身もそうですが年齢を経ることによって新しいものへの適応には時間がかかったり、そもそも新しいものに触れないような保守的な行動をしてしまいます。私が入社した頃、当時の上司(定年直前)は私が提出した資料のエクセルの計算式を信用できないと言って電卓で計算し直していました。今でこそこういうエピソードは笑い話ですが、自分が年を取ると五十歩百歩だと思うことも多くなりました。

例えば、私だってツイッターを始めたのが今年の5月です。新入社員の年齢の人間がこの様子を見たらあの時の上司と同じような「新しいものに拒否感」がある人間に映るでしょう。社会人にとって本当は新しい物事にトライして、身に付けていく技術と精神的な若さが大事なんですけどね。これは肝に命じたいです。 

教育とは若い世代に追い抜かれるもの

若い世代を「ゆとり世代」とかレッテル張りする方もいますが、本質的に「教育」って年配より若い人の方が優秀な結果にならないといけないものだと思うんです。(あくまで理想としてね)

だって若い世代が上の世代を追い抜いていかないと企業も国も進歩しないでしょ。

ゲームで例えれば自分が40歳の時にレベル50なんだとしたら、下の世代は39歳以下でレベル50に到達してほしい。そういう感じ。まるで篠田麻里子さんみたいな発言ですが、あれって進歩の本質だと思うんです。

まあ、上の世代、若い世代と一括りにすべきでないし、置かれた現実と人によって違うのかもしれません。でも繰り返しになりますが、理想としてはこうじゃない? と思うわけです。

そして、上の世代は若い世代に抜かれるだけで良いのか? という部分について佐藤優氏は「教育を考えるべきじゃないか」と提案しているんですね。

これって結構、牧歌的な理想論ではなくて現実に問いかける価値のある提案だと思うんです。

例えば経済産業省の「21世紀からの日本への問いかけ」平成28年5月次官・若手未来戦略プロジェクト この資料自体は非常にポジティブな内容で「少子高齢化が進む日本ではAI・ロボット導入への抵抗が世界で最も少ないのではないか」とか?マークが浮かぶ場面もありますが、今の日本の状況を把握する上では参考になります。

さて、その中にこんな文章があります。

また、バイオ技術の活用で世界に先んじて健康寿命が延び、 AI・ロボット技術の積極導入によるサポートが可能になれば、高齢者も、支えられる側から、むしろ価値創造側に回ることができるのではないか。

社会保障費問題・人口推計・技術革新などを背景に「高齢者が働くことが出来れば解決!」という考えで、おそらく定年引上げの考えにも繋がっているんでしょう。

高齢者の立場として、身体は元気だし働きたいけど、気持ち的には新しいことに億劫な上に若い人たちは自分の持っていない知識・技術を持っている、という状況が想像されますよね。 

そういう時に高齢者をほっておいて良いのか。そうなることが想像できるなら、その前(高齢者になる前)の時点で手を打つべきではないかという考えですよね。早めに対処すればするほどコストは小さくなるものですから検討する価値はあると思います。

今は高等教育(大学)で身に着けられる知識が社会に出て役に立たないのであまり問題になりませんでした。(そもそもそれがオカシイんですが…)今後、20年後がそのままの状態とは思いません。上で紹介した以前の記事のように大学受験・大学の教育が変われば、そこで得た力がそのまま社会で活かせるようになっても不思議ではありませんよね。 

自己研鑽していない社会人の自業自得という考えもわかるんですが、私としてはこの「社会人に対しての教育」という観点はとても大事だと思うわけです。 

佐藤優さんの書籍はどれも面白いのですが危ないラインに踏み込んだ感のある本書も面白いです。嘘か本当か疑いながら楽しんで下さい。 

外務省犯罪黒書

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