RYOSAKASANTO

教育業界にいる陵坂さんが教育・子育て・DWEなどについて書くブログ

ポケモンGOの研究論文を読んでみた


「モンスターを捕まえるゲームに夢中なキラキラ女子モンスターを捕まえるゲームに夢中なキラキラ女子」[モデル:河村友歌]のフリー写真素材を拡大

少し経ってしまいましたが、ゲーマーには嬉しいニュースがありました。

www.nikkei.com

ゲームをするとバカになる、ゲームの時間なんて無駄だと意見を言われたこともある方も多いのではないでしょうか。そういう時は「無駄かどうかはアナタが決めるんじゃなくて、私が決めることです!」といつも心の中で言い返していました(笑)

ひと昔前は「ゲーム脳」なんて言葉が流行った時期もありました。 

最近は比較的ゲーム好きと言っても受け入れられやすい風潮になったと感じます。もちろん肯定否定、色々な考えがあって当然ですし、趣味嗜好は自由なものです。

過剰なものはゲームであれ、お酒であれ、心身と人間関係に悪影響を及ぼすものでしょう。水だって飲み過ぎたら命に関わりますからね。 

新聞報道

さて、ポケモンGOの話に戻りますと詳しい発表の内容が東大より紹介されています。

「スマホゲームアプリ「Pokémon GO」は労働者の心の健康の保持・増進に有効」

 東京大学医学系研究科精神保健学分野の渡辺和広大学院生、川上憲人教授らは、「PokémonGO」が労働者のメンタルヘルスを改善する効果に着目し、労働者を対象に調査を実施しました。2015 年11 月から追跡していた、日本に居住している正社員・正職員の労働者2,530 名を対象に、2016 年12 月にインターネットを用いて、「Pokémon GO」を1 ヶ月以上継続してプレイしたことがあるか、および心理的ストレス反応の程度について調査を実施しました。その結果、「Pokémon GO」を1 ヶ月以上継続してプレイした労働者(246 名、9.7%)は、そうでない労働者(2,284 名、90.3%)に比べ、1年後の心理的ストレス反応が有意に減少していました。 この結果は、対象者の年齢や性別といった属性、喫煙や飲酒の習慣といった生活習慣、そして仕事の量的な負担、裁量権、および上司や同僚からの支援の程度といった仕事の要因を考慮した上でも同じでした。 得点は、性別、年齢、喫煙習慣、飲酒習慣、および仕事のストレス要因の影響を調整済みである。

小学生みたいな表現をすれば「ストレス発散にめっちゃいい」みたいな内容に読めるのですが、どうなんでしょうか。探してみるとネイチャーに掲載された論文が見つかりました。こちらです。

実際に読んでみました www.nature.com

ざっと一通り目を通したので簡単に「新聞記事」「東大のリリース」の補足内容を列挙します。(Google翻訳を使ったので一部翻訳がおかしい箇所もあるかもしれません) 

補足内容

・ポケモンGOがメンタルヘルスに与えるメリットについての報告は、症例報告や事例の報告からのものであり、これに関する科学的証拠はまだない。そこでポケモンGOは心理的苦痛と負の関係にあると仮定した。

・インターネット調査会社(マクロミル)を活用したアンケートを行った。(合計3,915名の労働者を対象)

・心理的苦痛についてはBJS(Brief Job Stress Questionnaire)を用いた。

・仕事のパフォーマンスについてはWHOの健康および作業実績質問票(WHO-HPQ)を用いた。

・心理的苦痛の改善は、ポケモンGOプレイヤーの間では非プレイヤーの間よりも有意に大きかった。

・ポケモンGOプレイヤーの間では、仕事のパフォーマンスはやや低下したが、それほど大きくはなかった。

・ポケモンGOと拡張現実感技術が心理的苦痛をどのように改善するかは本研究の焦点ではない

・ポケモンGOの効果は、心理的苦痛だけに限られる。

・遡及的に関係を調べたので、因果関係を推論することはできない。

気になった点

私は研究者ではないので論文の良し悪しに言及することはできません。そこで気になった点について述べさせてもらおうと思います。 

「ポケモンGOで仕事のパフォーマンスがやや低下した」という部分。

ポケモンGOをし過ぎて寝不足とか、そういうことであれば良いなあ、と感想を持ちました。これが理由なら大作RPGや一気読みしちゃうような小説でも同じような影響があるかもしれませんが、そうでなければ少し心配です。

どういう理由でそういうことが起きてしまうのか。それとも因果関係はないのか。気にするほどの差ではないようなんですけどね。 

次は「ポケモンGOの効果は、心理的苦痛だけに限られる」という部分。

元々ポケモンGOは「NINJYA GO」というアメリカで人気のアプリが元ネタで、「NINJYA GO」自体、アメリカの子どもの肥満対策に歩かせる要素があると聞いたことがあります。

そうであるならポケモンGOをした労働者に身体的に良い影響があっても良いはずだと考えたのですが、そういう結果は出なかったようです。意外と歩かずに電動自転車を駆使した強者が多かったということでしょうか。 

またこの研究は「ポケモンGOのどういった要素が良かったのか」が焦点ではないのですが、どうして心理的に改善されたか知りたかったですね。論文の中では「身体活動の増加」「社会化」という表現で少し触れられていますが、本当の理由はわかりません。

「歩くこと」、「話題になったゲームなのでコミュニケーションが活発になる」、「ポケモンを捕まえるたびにストレス発散」などあり得るのですが、他のゲームでも可能な気がします。また遊び方によって効果が変わるのかもしれません。

この論文では他アプリや他のストレス発散やメンタルヘルスを改善するのに有効な方法との比較がないので、ポケモンGoがどの程度素晴らしいのか良くわかりません。ぜひ複数のスマホアプリを元に検証して頂きたいなと思いました。

何はともあれゲームがこうやって取り上げられて、プラスなものとして報道されたことは喜ばしいことです。歩きスマホなど弊害もありますが、結局、物は使いよう。使う側の運用次第でプラスな面がもっとあるのではと思いました。