りょうさかさんと

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【書評】「13歳からのアート思考」社会に出てから必要になる力


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どうも、りょうさかさんです。

今回は「13歳からのアート思考」(末永幸歩/ダイヤモンド社)です。

「美術館に行っても、つい解説文ばかり読んで疲れてしまう」
「見た作品の何が良いか、よくわからない」

美術館・博物館に行ってそんな感想を持ったことはありませんか?

本書を読むと「アートとは何か?」「自分の考えを持つとは何か?」そういうことがわかるようになりますよ。

「13歳からのアート思考」とは

「13歳からのアート思考」は、アート鑑賞を通して「自分だけのものの見方・考え方」を身に付けること目指す内容になっています。

「アート思考」のプロセスとして本書では冒頭に以下の3点が示さます。

①「自分だけのものの見方」で世界を見つめ、

②「自分なりの答え」を生み出し、

③それによって「新たな問い」を生み出す

(引用)「13歳からのアート思考」(末永幸歩/ダイヤモンド社)p.13より

このプロセスって、実は2022年度から実施される高等学校の新指導要領の「探究」と一致する部分なんですよね。 

そして、この「アート思考」のプロセスは社会人になってからも必要な思考法です。

よく「これからの社会に必要な人物像」に「自分で問題を発見できる人物」が挙げられますよね。

しかし、上の流れにあるように問題を発見する前にはまず「自分だけのものの見方」が出来ることが大切です。

本書では「アート思考」を身に付けるための6つの観点からなる授業で構成されています。

授業のタイトルだけでも列挙すると以下のようになります。

  1. 「すばらしい作品」ってどんなもの?
  2. 「リアルさ」ってなんだ?
  3. アート作品の「見方」とは?
  4. アートの「常識」ってどんなもの?
  5. 私たちの目には「なに」が見えている?
  6. アートってなんだ?

各授業の冒頭には、実際に読者が「自画像」「サイコロ」を描く場面も設けられているので紙とペンを用意して読んでくださいね。

わたしも実際に書きましたよw 

アート思考から学ぶ「自分だけのものの見方」

アート思考でわたしが大切だと感じた要素は、前提・常識に捉われずに自分で考えるという点です。

「アート」というとなんとなくイメージする前提や常識のようなものはありませんか?

本書を読むと油絵や風景画だけがアートではないこと、また「一般的に名作と言われているけど、私には意味不明」もOKだということがわかります。

本書では「自分で考える」際のヒントがあります。

例えば本書で紹介される「アウトプット鑑賞」の2つのポイントがそうです。

「アウトプット鑑賞」とは「作品を見て、気がついたことや感じたことを声に出したり、紙に書き出したり」(本書p.66より)する方法のことです。

そして、このアウトプットにさらに「問いかけ」をすることで言語化していきます。

「問いかけ」のポイントがこちら。

  1. どこからそう思う?-主観的に感じた「意見」の根拠となる「事実」を問う
  2. そこからどう思う?-作品内の「事実」から主観的に感じた「意見」を問う

(引用)「13歳からのアート思考」(末永幸歩/ダイヤモンド社)p.13より

これってアート作品だけでなく、漫画、アニメ、映画、ニュース、目の前のトラブルについても使える発想ですよね。 

「面白い!」「感動した!」「ムカつく!」みたいな感想から「どうして面白いと思ったのか?」「どうして感動したのか?」「なぜ腹が立つのか」とドンドン深めていく。

このことによって自分がどう世界を認識しているか言語化することができます。

その地続きに「自分だけのものの見方」があるわけです。

学校教育で「技能教科」がより重要になる

「自分だけのものの見方」の大切さを踏まえて「学校教育」に目を向けてみましょう。

こういった「自分だけのものの見方」につながる要素は、様々な主要教科の中に散らばっています。

しかし、一方で学校の主要教科では、どうしても「100%正しい答え」を教えることに力と時間を割かざるを得ません。

そこで活躍するのが「図画工作」や「美術」の時間です。

これらには自分で考える時間に加えて、「自分の手を動かす」時間があるからです。

「手を動かす」ことによってその時のテーマが「自分ごと」「自分と向き合う」になる時間が生まれます。

また文科省の「教科担任制」について考察した記事でも「美術」が重要になると読み解きました。 

受験科目ではないので、つい軽視しがちな方もいるかもしれませんが、子どもの未来を考えた時にはとっても大切な教科であると思います。

「自分で考える」題材でオススメはアートと絵本 

次に学校教育ではなく家庭教育で「アート思考」を育むためにすべきことはなんでしょうか?

シンプルなのは、美術館に行って、様々なアートと呼ばれるものに触れたり、親子で会話して言語化することです。

ただ、毎週美術館に行くのは現実的ではないですよね。

そこで「自分で考える」ことのトレーニングがしやすい題材としてわたしがオススメするのが「絵本」です。

絵本は、子どもの年齢に応じてストーリー、イラストなど会話することができます。

絵本は子供向きだと侮るなかれ。

わたしが絵本の考察記事を書いているのは「自分で考える」トレーニングになる上に、子どもと一緒に考えられるからなんですよね。 

どんな内容かはこちらをどうぞ⇒

しかも絵本の良いところは小説や映画と違って短時間でくり返し読み込むことができる点です。 

子どもと話す前にまず親である私たちから、絵本を繰り返し読んで「自分なり考えてみる」ことからはじめてみてください。

結果的にそれが誰かと同じであっても構いませんし、人と違う考え方だったら面白いですよね。

長くなりましたが、こんなことをわたしは「13歳からのアート思考」を読んで「自分なりのものの見方」から考えてみました。

よかったらぜひ、読んでみてくださいね。

それでは、また。