りょうさかさんと

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英語民間試験の活用の差が地域間格差を生む


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全国82の国立大に民間英語検定試験を活用するかのアンケートが行われたことについて2018年4月30日に報道されました。これによると13校が民間試験の活用を明言しています。

英語試験検定活用の裏側については色々このブログでも想像をしてきました。わたし自身は、もっと活用すべきだというスタンスですが「受験生にとってどうなのか」「民間英語試験に丸投げで良いのか」など批判の声もとても理解できます。

わたしが今回心配しているのは活用を明言した大学の偏りによって地域の意識差が格差にならないか? という点です。

まずニュースの確認

東京新聞:民間の英語試験、13国立大が「活用」 共通テスト 公平性に懸念の声:教育ニュース:教育(TOKYO Web)

このうち「合否判定に活用する」としたのは筑波大、埼玉大、千葉大、東京外国語大、東京学芸大、電気通信大、一橋大、信州大、金沢大、岐阜大、長崎大、琉球大の十二校。

これにプラスして東大が活用の方針を発表しているので、合計13校が民間の英語試験を使うわけです。

使用される英語試験についてはこちらをどうぞ。 

www.ryosaka.com

手元にある紙版の産経新聞(2018年4月30日・朝刊)によると「29日、共同通信のまとめで分かった。」と書かれています。つまりアンケート自体は文科省、大学入試センター、国立大学協会が行ったものではないことがわかります。

また産経新聞(紙版)では上で引用した「活用する」大学以外に「検討中61校」、「答えられない4校」、「回答なし4校に」ついても学校名が(一部)紹介されているので引用させていただきます。(現時点で「活用しない」は0校でした)

検討中 61校

北海道大、岩手大、東北大、宮城教育大、秋田大、山形大、福島大、茨城大、群馬大、宇都宮大、東京工業大、東京医科歯科大、東京農工大、お茶の水女子大、横浜国立大、新潟大、長岡技術科学大、上越教育大、山梨大、浜松医科大、名古屋大、大阪大、神戸大、広島大 など

答えられない 4校

旭川医科大、豊橋技術科学大、京大、九州大

回答なし 4校

東京芸術大、静岡大、鳥取大、鹿児島大

活用を表明した大学の偏差値

各大学の偏差値についてパスナビを元に調べてみました。

筑波大 55~65  埼玉大 50~57.5

千葉大 50~70  東京外国語大 60~70

東京学芸大 50~62.5  電気通信大 52.5~57.5

一橋大 67.5~72.5  信州大 50~65

金沢大 50~65  岐阜大 50~70

長崎大 45~67.5  琉球大 37.5~65

東京大 67.5~72.5

(参考)大学受験パスナビ:旺文社

偏差値自体はあくまで参考程度に。また学部によっても偏差値は大きく違うので一番低い偏差値と一番高い偏差値を採用しています。

(補足:例外もありますが偏差値の低い方の数字が文系、高い方の数字が理系となっています。)

この13校からわかることは、偏差値に関係なく活用する学校は存在する。

関西地方、東海地方の大学はほとんど活用を「検討中」ということくらいです。

関西地方は京都大学、神戸大学、大阪大学の判断に左右される学校が出てきそうですし、東海地方は名古屋大学の動向に注目が集まりそうです。 

地域間格差を生まないために

東京大学、一橋大学などの活用の表明、上智大学など一部の私立では既に民間英語試験の結果を活用していることを踏まえると進学実績でしのぎを削る超進学高校では、学校の所在地に限らず民間試験対策は必須といえるでしょう。

特に関東と九州の先生方は熱心にならざるを得ないですよね、関東・九州のトップクラスの大学は活用を明言してるんだもん(それが良いかどうかは別にして。)

一方で地域間格差の懸念もあります。よく言われるのは民間試験の会場、試験回数、試験料の金銭的負担などがメインだと言われています。

わたしが個人的に考えるのは学校の意識差も大きな地域間格差になるんじゃないかってことです。

高校周辺の大学で、活用の表明がまだないor少ない関西地方、東海地方では教員の先生方・生徒の意識って関東・九州とは全然違うと思うんですよね。

でも、大学受験って全国レベルの戦い。

いざ、生徒が大学受験を期に上京を考えた途端に民間英語試験の差が立ちはだかる可能性が出てきちゃう。この地域の意識差のせいで生徒が不利益になるのはフェアじゃないような。

色々大学のポリシーやお考えもあるだろうけど、生徒のために関西地方、東海地方のトップ大学からも早く活用について明確にしてあげるべきだと思います。

じゃあ、また。

格差についてまずこんなのから読んでみるのもあり。

週刊東洋経済 2018年4月14日号 [雑誌](連鎖する貧困)

週刊東洋経済 2018年4月14日号 [雑誌](連鎖する貧困)

 

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