りょうさかさんと

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中高生の英語力が高い都道府県はどこ?


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今回は2018年4月7日に「中高英語力 基準到達4割」というニュースについて。

このニュースは文科省の英語教育実施調査を元に報道されています。

何気なく4割しかできねーのかよ今の中高生は?」と思いがちなニュースですが少し詳しくみていこうじゃないですか。

どの新聞報道を見てもほとんど同じようなことが書かれているので、たまたま検索で上にきた産経新聞の記事のリンクを貼っておきます。

(参考)中高生英語力、基準到達4割 上昇傾向も国の目標に届かず 文科省調査(1/2ページ) - 産経ニュース

英語教育実施状況調査について

この調査、正式には「平成29年度英語教育実施調査」という名前です。

詳細な内容は文部科学省のWEBサイトをご覧ください。

(参考)平成29年度「英語教育実施状況調査」の結果について:文部科学省

調査対象:全国の各都道府県・市区町村教育委員会及び全ての公立小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校を対象とする。

(引用)平成29年度「英語教育実施調査」(概要)

小学校は19,487校、中学校9,405校、高等学校3,369校という数字になっています。

平成25年から調査を開始し、「中3年生で英検3級程度以上、高3生で英検準2級程度以上」という基準を設けそれぞれ50%以上を目指して取り組まれています。

結果はどうだったのか

新聞のタイトル通り上段の目標の到達は4割という結果でした。

都道府県毎にどの程度の差があるのでしょうか。

産経新聞(紙)に載っていた「生徒の英語力の状況(平成29年度)」という表の数字を打ち直して表を作ってみました。新聞を見逃した方はご参考にどうぞ。

(数字単位は%、また高校の数値は政令指定都市を含んだ数値となっています。)

 

中学3年

高校3年

英検3級程度以上

英検準2級以上

北海道

32.8

37.6

青森

39.9

42

岩手

37.1

35.9

宮城

42.7

27.9

秋田

49.1

41.7

山形

33.9

44.2

福島

32.9

33.1

茨城

43.3

36.2

栃木

39

41.4

群馬

43.3

36.8

埼玉

41.9

34.5

千葉

48.9

44.9

東京

51.6

38.3

神奈川

37.6

45.2

新潟

31

39.9

富山

43.7

49.1

石川

50.2

43.3

福井

62.8

52.4

山梨

36.3

38.7

長野

37.3

38.8

岐阜

36.4

39.1

静岡

39.9

43.2

愛知

32

35.5

三重

35.3

38.6

滋賀

40

33.5

京都

38.6

36.1

大阪

39.5

37.1

兵庫

36.4

45.3

奈良

40.4

33.2

和歌山

44.8

35

鳥取

35.7

36.5

島根

30.5

35.9

岡山

40.2

44.5

広島

42.4

44.1

山口

37.9

37.6

徳島

47.3

40.6

香川

33.1

37

愛媛

39.8

40.8

高知

34.1

31.7

福岡

33.8

39.5

佐賀

32.9

33.1

長崎

38.8

39.9

熊本

36.3

38.8

大分

43.1

43.7

宮崎

41.4

39.1

鹿児島

36.9

37.6

沖縄

31.7

44.3

札幌市

33.4

 

仙台市

40.6

 

さいたま市

58.9

 

千葉市

47.2

 

川崎市

48.3

 

横浜市

54

 

相模原市

35.1

 

新潟市

33.6

 

静岡市

32.8

 

浜松市

28

 

名古屋市

34.5

 

京都市

43.1

 

大阪市

52.2

 

堺市

27.6

 

神戸市

35.1

 

岡山市

35.3

 

広島市

42.9

 

北九州市

43.7

 

福岡市

53.2

 

熊本市

51.3

 

ぜひ、自分がお住まいの都道府県とその近隣を見比べてみてください。

インターネットの記事に表がないとはいえ、わざわざエクセルで打ち直したのにはワケがあります。

中学3年生の達成率が高い地区

意地悪く表の順番を並び替えてみましょう。

中学3年生の数値が良い順に並べると…

 

中学3年

高校3年

英検3級程度以上

英検準2級以上

1

福井

62.8

52.4

2

さいたま市

58.9

 

3

横浜市

54

 

4

福岡市

53.2

 

5

大阪市

52.2

 

6

東京

51.6

38.3

7

熊本市

51.3

 

8

石川

50.2

43.3

9

秋田

49.1

41.7

10

千葉

48.9

44.9

11

川崎市

48.3

 

12

徳島

47.3

40.6

13

千葉市

47.2

 

14

和歌山

44.8

35

15

富山

43.7

49.1

16

北九州市

43.7

 

17

茨城

43.3

36.2

18

群馬

43.3

36.8

19

大分

43.1

43.7

20

京都市

43.1

 

21

広島市

42.9

 

22

宮城

42.7

27.9

23

広島

42.4

44.1

24

埼玉

41.9

34.5

25

宮崎

41.4

39.1

26

仙台市

40.6

 

27

奈良

40.4

33.2

28

岡山

40.2

44.5

29

滋賀

40

33.5

30

青森

39.9

42

31

静岡

39.9

43.2

32

愛媛

39.8

40.8

33

大阪

39.5

37.1

34

栃木

39

41.4

35

長崎

38.8

39.9

36

京都

38.6

36.1

37

山口

37.9

37.6

38

神奈川

37.6

45.2

39

長野

37.3

38.8

40

岩手

37.1

35.9

41

鹿児島

36.9

37.6

42

岐阜

36.4

39.1

43

兵庫

36.4

45.3

44

山梨

36.3

38.7

45

熊本

36.3

38.8

46

鳥取

35.7

36.5

47

三重

35.3

38.6

48

岡山市

35.3

 

49

相模原市

35.1

 

50

神戸市

35.1

 

51

名古屋市

34.5

 

52

高知

34.1

31.7

53

山形

33.9

44.2

54

福岡

33.8

39.5

55

新潟市

33.6

 

56

札幌市

33.4

 

57

香川

33.1

37

58

福島

32.9

33.1

59

佐賀

32.9

33.1

60

北海道

32.8

37.6

61

静岡市

32.8

 

62

愛知

32

35.5

63

沖縄

31.7

44.3

64

新潟

31

39.9

65

島根

30.5

35.9

66

浜松市

28

 

67

堺市

27.6

 

都道府県に限れば福井県、東京都、石川県、秋田県、千葉県が上位です。

あとは、やっぱり政令指定都市が上位にきていますね。これにはいくつかの理由が考えられます。

人数規模的な要素。地価が高い為、親の年収が高い(教育投資が多くなる)。行政的な施策を打った効果が数字として反映されやすい。

これらの要素が重なるので政令指定は上位に来やすいと考えられます。

行政施策について補足すれば、例えばある県内でA市だけが何かを新しい教育手法に取り組んだとします。

このA市が政令指定都市だった場合はダイレクトにその結果が数字に反映されます。

一方、このA市がそうでない場合、仮に県内に10市があったとすると県として数値を合計した時にA市での取り組みは反映されにくいですよね。

そういう違いも考慮して数字を見る必要があります。 

高校3年生の達成率が高いところ

じゃあ、高校になるとどうなるんでしょうか。並び変えた表をどうぞ!

 

中学3年

高校3年

英検3級程度以上

英検準2級以上

1

福井

62.8

52.4

2

富山

43.7

49.1

3

兵庫

36.4

45.3

4

神奈川

37.6

45.2

5

千葉

48.9

44.9

6

岡山

40.2

44.5

7

沖縄

31.7

44.3

8

山形

33.9

44.2

9

広島

42.4

44.1

10

大分

43.1

43.7

11

石川

50.2

43.3

12

静岡

39.9

43.2

13

青森

39.9

42

14

秋田

49.1

41.7

15

栃木

39

41.4

16

愛媛

39.8

40.8

17

徳島

47.3

40.6

18

新潟

31

39.9

19

長崎

38.8

39.9

20

福岡

33.8

39.5

21

岐阜

36.4

39.1

22

宮崎

41.4

39.1

23

長野

37.3

38.8

24

熊本

36.3

38.8

25

山梨

36.3

38.7

26

三重

35.3

38.6

27

東京

51.6

38.3

28

北海道

32.8

37.6

29

山口

37.9

37.6

30

鹿児島

36.9

37.6

31

大阪

39.5

37.1

32

香川

33.1

37

33

群馬

43.3

36.8

34

鳥取

35.7

36.5

35

茨城

43.3

36.2

36

京都

38.6

36.1

37

岩手

37.1

35.9

38

島根

30.5

35.9

39

愛知

32

35.5

40

和歌山

44.8

35

41

埼玉

41.9

34.5

42

滋賀

40

33.5

43

奈良

40.4

33.2

44

福島

32.9

33.1

45

佐賀

32.9

33.1

46

高知

34.1

31.7

47

宮城

42.7

27.9

48

札幌市

33.4

 

49

仙台市

40.6

 

50

さいたま市

58.9

 

51

千葉市

47.2

 

52

川崎市

48.3

 

53

横浜市

54

 

54

相模原市

35.1

 

55

新潟市

33.6

 

56

静岡市

32.8

 

57

浜松市

28

 

58

名古屋市

34.5

 

59

京都市

43.1

 

60

大阪市

52.2

 

61

堺市

27.6

 

62

神戸市

35.1

 

63

岡山市

35.3

 

64

広島市

42.9

 

65

北九州市

43.7

 

66

福岡市

53.2

 

67

熊本市

51.3

 

高校になるとだいぶ様子が少し変わります。

福井県が一位という結果は変わりませんが、都道府県で2位だった東京都が順位を譲り、富山県、兵庫県、神奈川県、千葉と続きます。

高校の数字を見る時には注意が必要です。

それは私立が多い地区、私立進学校が多い地区の存在です。

優秀な中学生が私立に入学し、数字に反映されなくなるからです。東京の順位が下がるのはこのあたりも理由なんじゃないかなと感じます。

まとめ

この表はあくまで英検を基準にした英語力の結果です。

また英検を受けていない生徒についても教員の判断で「英語力」があると判断された場合は数字に加味されていることも押さえておくべきです。

調査結果には、中3で英検3級、高3で準2級以上を取得した生徒のほか、取得していなくても定期テストの結果などを基に教員の裁量で「相当の力がある」と認めたものも含まれる。準2級は「高校中級のレベル」、3級は「中学卒業のレベル」とされる。

(引用)中高生英語力、基準到達4割 上昇傾向も国の目標に届かず 文科省調査(1/2ページ) - 産経ニュース

英検を受験していなくても「この子は大丈夫ね」と先生が判断できるくらい力のある生徒については大きな問題はないと思います。一方で合格ライン前後に位置する生徒については個々の教員の判断に左右されることになります。

ですから、ご自分のお住まいの都道府県・政令指定都市の順位を見られた時に前後の地区と比べて一喜一憂する必要はありません。だいたい同じくらいなんだなーくらいの認識にしておいて、そんなことより我が子のレベルはどうなのよ? ということに考えを巡らす方が有意義だと思いますよ。

ほな、さいなら

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