どうも、りょうさかさんです。
時期的にはもうそろそろ高校1年生で課題研究などの論文作成に取り掛かり始める時期かもしれません。
また大学ならちょうど卒論の提出が終わったぐらいでしょうか。
課題研究、自由研究、卒論といった論文を書くときの注意点として「論理の飛躍」があります。
これをどうやって防ぐのか、また同級生、他人の論文を読む時にどこを注意して読むべきなのか。
今回のテーマはこれです。
この能力は社会人になってからの実社会においても重要です。
騙されない為に、また騙すようなことをしない為にも身に付けておくべきです。
サラリーマン向けの研修では「クリティカル・シンキング」(批判的思考)と言われています。
今回はこの中から論文作成に親和性の高い部分について紹介をしたいと思います。
これは意識すれば明日からすぐ取り組めることなので、ぜひニュースや会議でもっともらしい意見が出た時に使ってみてください。
クリティカル・シンキングとは
こちらはWikipedeiaから引用させてもらいます。
批判的思考(ひはんてきしこう)またクリティカル・シンキング(英: critical thinking[1])とは、あらゆる物事の問題を特定して、適切に分析することによって最適解に辿り着くための思考方法である。ただし、「批判」の定義については論者によって異なり、多くは単に否定的になるのではなく、自身の論理構成や内容について内省することを意味する。
批判的思考という名称なので、なんか全方位を疑ってかかるようなイメージを持たれるかもしれませんがそういうわけではありません。
論理展開をしっかりしているかどうか確かめるために、また実生活・実社会であれば問題を解決する筋道のチェックとして使うことが出来る思考法です。
実は文部科学省もこのクリティカル・シンキングを重視しています。
少し前の資料ですが「社会を生き抜く力の育成」という観点から取り上げています。
考える力(クリティカルシンキング)やコミュニケーション能力等の育成、体験的な学びに重点をおいた新学習指導要領等の着実な実施とフォローアップ
(引用)「社会の期待に応える教育改革の推進」(文部科学大臣 平野 博文 平成24年6月4日)
だから学校でも教員の先生方はこういったことを意識してご授業に取り組んでいるはずです。
論文作成に活かしやすい部分
クリティカル・シンキングのWikipediaを見てもらうと色々な考え方・切り口を統合したものだということがご理解いただけると思います。
概要はそちらを見ていただくとして論文などに活かせる部分を紹介したいと思います。
前提が正しいのか・前提を飛ばしていないか
これは自分自身が書く時も、他人が書いた時も念頭に置いておくべき観点です。
そもそも「前提」がないと議論が成り立ちません。
しかし「前提」の根拠が怪しかったり、そもそも「前提」がなかったりするとどうでしょうか。
いくら論理を展開したとしても他人には響かない独りよがりの文章になってしまいますよね。
特に自分の中では当たり前であっても、他人にとってそうでない場合は前提がないと全く伝わらなくなります。
では具体例を見てみましょう。
例えばこんな文章はどうでしょうか。
(前提)A社の離職率がなかなか下がらないのは、給料が安いからです。
(結論)だから給料を上げるべきです。
この前提はそもそも正しいのでしょうか?
給料以外の就労時間などの待遇や仕事内容、人間関係などの要素も考えらますよね。
つまりこの2行の文章は(前提)が間違っているかもしれないし、もし正しいのであれば給料以外の要素の影響は少ないという根拠を前提から飛ばしてしまっています。
マジックワードに注意する
マジックワードについては一度書いたので詳しくはそちらをご参考ください。
シンプルに言えば「人によって感じ方の違う抽象的な言葉(国際化、多い・少ない)などの言葉を使う際には気を付ける」ということです。
自分の論文、他人の論文などを読む際もそうですが、会議で「既存商品の小型化の要望が多数上がっています」みたいな発言をする人にも要注意というお話しです。
この場合「多数」と言ってもどれくらいの人数なのか、何人中何人の意見なのか、その人達はどういう人なのか(ターゲット顧客層と一致・不一致)などなどツッコミどころが沢山あります。
意外と自分の大事にしたい顧客一人に言われただけなのに一般論のように言っているケースってありますからね(笑)
(ちなみにこのケースなら「小型化」という言葉もどの程度小さくしたいのかわからないのでダメです)
相関関係と因果関係
相関関係・因果関係についても以前の記事で触れましたのでご参考下さい。
では、相関関係・因果関係を誤って使っている2つの例を見てみましょう
ケース1
- スマホの時間が多い生徒ほど、試験の平均点が下がる傾向がある。
- だから学生のスマホを禁止しましょう。
ケース2
- 数学の成績が良い生徒ほど英語の成績も良い傾向がある。
- だから英語の成績を上げるために数学の勉強に力を入れよう。
どちらも、りょうさかさんが作った文章なので何の根拠もありません。
仮にどちらも(1)の文章内容が事実として正しいとしましょう。
その後の論理展開として(2)の結論を導きだすのは正しいでしょうか。
よく考えればわかることですが傾向があることとと原因は別問題ですよね。
つまり因果関係はわかりません。
傾向があるだけなら相関関係があるだけで、どちらの場合も(2)が正しいとも間違っているとも現時点では言うことができません。
(2)の結論が有効なのは、研究や調査を元にしたデータによって原因が判明したときです。
偉いお医者さんも使い方を間違える相関関係と因果関係(笑)。
良く理解した上で活用してください。
包含関係と因果関係
これは数学では高校数学I・Aの内容です。
数学なんて日常生活で使わないとかいう方、ほら、こういう部分で数学的な考え方が生きてくるんですよ。
じゃあ、数学ではなく日常生活ではどういう風によく使われるのか。
今回も具体例を見て考えてみましょう。
- 東大合格者は全員幼少期に「絵本の読み聞かせ」をされて育ってきた。
- 今から子どもに「絵本の読み聞かせ」をすれば東大に合格できる。
確かに「絵本の読み聞かせ」は効果があると言われています。
でも「絵本の読み聞かせ」をされて育った子ども達全員が東大に合格するわけないですよね。
なのに因果関係として論理展開をしちゃっている。
明らかに誤りです。
これも結構しがちなミスなので気を付けてください。
ちなみに「絵本の読み聞かせ」の効果に興味のある方は詳しくはこちらをどうぞ。丁寧に書かれてますよ。
まとめ
クリティカル・シンキング(批判的思考)を用いて以下の観点から論理展開を見直す。
- 「前提」が正しいのか、「前提」が抜け落ちていないか。
- マジックワードを使用していないか。
- 相関関係と因果関係がしっかり関係しているか。
- 包含関係と因果関係を混同していないか。
ぜひ参考にして下さいね。
それでは、また。
「東大教授が教える独学勉強法」にもほとんど同じことが書かれています。
その書評がこちら。⇒
課題研究のヒントも詰まっている書籍なのでぜひ読んでみてください。